【新型デリカD:5ディーゼル試乗】パワートレーンが大きく進化したディーゼル仕様は、進化した走破性で雨でも絶大な安心感が魅力

●洗練されたミニバンに進化したデリカD:5のディーゼルモデル

2.2Lのクリーンディーゼルエンジンを積み、ビックマイナーチェンジを行なった三菱・デリカD:5。

個人的には、改良前モデルのギヤ(道具)感ある走りにも好感を抱いていて、トラック的なフィーリングというとネガティブに聞こえるかもしれません。それでも、信頼のおけるタフなクロカン系ミニバンという希有な存在で、まだまだ乗り続けるぞ!! という方も多いはず。

改良後モデルは、大きく変わった顔つきに注目が集まりがちですが、それ以外にも大きく進化していて、パワートレーンや足まわり、予防安全装備などの進化は、改良前モデルに乗っている方なら気になるはず。

エクリプス クロスに2.2Lクリーンディーゼルエンジン仕様が加わったことで開催されたプレス向け試乗会には、同じエンジンを積むデリカD:5も用意されていました。

専用オフロードコースでの走行も設定されていたものの、試乗日当日は大雨のため走行不可となり、オンロードでの走行のみとなりました。

2.2Lディーゼルターボは、フリクションの大幅低減、燃焼室の変更、次世代燃料インジェクターの搭載など、エンジンの主要機構部品のうち、約5割が改良され、従来車に対し最大トルクは5%アップの380Nm/2000rpmに増強。最高出力は145ps/3500rpm。

さらに、ワイドかつクロスレシオ化された新開発のアイシンAW製8速スポーツモードATにより省燃費だけでなく、スムーズな走りを手に入れています。

エンジンスペックはエクリプス クロスと同じで、変速比も同一ですが、最終減速比はエクリプス クロスの2.955に対してデリカD:5は3.075になっていて、デリカD:5のキャラに合わせてローギヤード化されています。

エクリプス クロスのディーゼルエンジン仕様と比べると、単純な車両重量の差で270kg〜280kgもデリカD:5方が重くなっていて、高速域のパンチ力はそれなり。

一方で、雨天時の郊外路や舗装されていない砂利道を走らせる分には動力性能に不足を感じさせるシーンは少なく、4WDオートにしておけば高い安心感が得られます。

新たに電動式のデュアルピニオンステアリグになった新型は、改良前モデルと比べてすっきりとしたステアリングフィールになったのも美点。ドライバーが無意識に操作しているステアリングの微修正もかなり減り、ほかのミニバンや乗用車から乗り換えても違和感は少ないはずです。

静粛性が大きく向上し、トラクションコントロールの最適化、リヤサスペンションのスプリング特性の見直し、ダンパーのサイズアップなどによる乗り心地の改善や走破性のさらなる向上など、今までの短所を解消し、長所を伸ばす改良を施すことで、洗練されたミニバンに確実にアップデートされています。

3列目の格納性などは少し古さも感じさせる点は確かにあります。それでも、大人でもきちんと座れるサードシートと広い室内空間を確保するなど、ミニバンに求められる多人数乗車もしっかりこなしてくれます。オートキャンプやスキー、マリンスポーツなどの趣味を持つファミリー層にはピッタリの存在になってくれそうです。

※上記写真には、試乗日と別に撮影されたものも含まれます。

(文/塚田勝弘 写真/中野幸次、三菱自動車)

【関連サイト】

三菱らしいハンドリングの良さが光る、2.2Lクリーンディーゼル+8ATの組み合わせ【三菱エクリプス クロス試乗記】
https://clicccar.com/2019/07/10/876897/

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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