ボルボ・V60のガソリン車とPHEVでは、車体の中央に実用面の違いがあった! 独特のバッテリー搭載位置が生み出す○と╳

●バッテリーの搭載位置が安全に貢献する理由とは?

突然ですが、ボルボは車名を見れば車体のジャンルと大きさがわかります。「V60」だと「V」がステーションワゴンで、「60」がミディアムサイズ(ほかにはラージの「90」とコンパクトな「40」がある)というわけですが、実はポジション的にはかつてのボルボの定番モデル「V70」と同じくらい。

荷室容量は従来型の430Lに対して529Lと大幅にアップしていて、これはV70最終モデルの575Lに迫る広さ。メルセデス・ベンツ CクラスエステートやBMW3シリーズツーリング、そしてアウディA4アバントなどライバル以上に広いのだからステーションワゴンとしての実力は確かなのです。

そんな「実用ワゴン」のV60にはガソリンエンジン車と、モーターを組み合わせたPHEVモデルをラインナップ。でも、PHEVモデルはガソリン車に比べるとどこかにスペースの犠牲が生じるのが世間の常識です。大きなバッテリーを積まざるを得ないのだから仕方ありません。

たとえば日本の代表的なプラグインハイブリッドである三菱の「アウトランダーPHEV」はバッテリー搭載のために後席の床や、荷室の床面が高かったりするわけです(とはいえ気にならないレベルですけどね)。果たして、ボルボV60ではそのあたりはどうなのでしょうか? 気になったので確認してみました。

まず気になるのは荷室ですが、実は荷室(の床上寸法)はガソリン車でもPHEVでも差はなし。つまりガソリン車に積める荷物はPHEVでもすべて積めるというわけです。

ステーションワゴンにとって積載性はやはり大切ですが、そのあたりはご心配なく。このあたりの徹底ぶりは流石ボルボといえますね。

では明らかに違う部分はないかと探してみたら、ありました。すぐにわかる違いは後席足元です。バッテリーを車体中央(センターコンソールボックス内など)に積む影響で、床のセンタートンネルが高くなっているのです。4人で乗るなら全く問題ないですが、5人で乗る際は中央に座る人の足元が少し狭いですね。

もうひとつ、ガソリン車と大きな違いはセンターコンソールボックス。リッドを開けると中はかなり浅く、ボックスというよりはトレーのような感じです。また、ガソリン車ではセンターコンソールボックス内に備わるCDプレーヤーもPHEVでは搭載されません。

いまや音源はスマホに入れていたりストリーミングの時代なので、多くの人にとってはCDプレーヤー非搭載でも問題ないと思いますが、PHEVを選ぶ際には覚えておきましょう。

ボルボのPHEVは多くの他社と違ってバッテリーを床下広範囲ではなくセンターコンソール付近に集中配置しているのがパッケージングの特徴です。そんな独自のバッテリー搭載方法は、衝突時にバッテリーを守る(車体中央なので衝突による車体損傷の影響を前後左右どこからも受けにくい)というメリットもありますね。

(工藤貴宏)

この記事の著者

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工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに執筆している。現在の愛車はルノー・ルーテシアR.S.トロフィーとディーゼルエンジンのマツダCX-5。
AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。
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