●CASEへの対応だけでなく、高いセキュリティシステムを搭載した新デジタルプラットフォーム
フォルクスワーゲンの「MQB」をはじめ、トヨタの「TNGA」、ダイハツの「DNGA」、SUBARUの「SGP」、メルセデス・ベンツの「MFA」、「MRA」、「MHA」、「MSA」、ボルボの「SPA」など、最新プラットフォームが次々と発表されています。
ある程度ボディサイズの縛りがあるものの、モジュール化することで異なるセグメントでも効率的に車種を増やせるようになるなどの利点があります。
そんな中、GMが新世代車載デジタルプラットフォームを発表しました。
これは、電気自動車に代表される次世代のクルマや、アクティブセーフティ、インフォテインメント、コネクティビティ機能の導入、そしてGMが開発した半自動運転システム「スーパークルーズ」の運転支援機能の進化などを実現するための基盤となるもので、100年に一度の大変革機といわれる「CASE」への対応といえそうです。なお、「CASE」とは、「Connected(コネクテッド)」、「Autonomous(自動運転)」、「Shared & Services(シェアリング&サービス)」、「Electric(電動化)」の頭文字を取った用語。
また、GMのビジョンである「無事故、ゼロエミッション、混雑ゼロ」の実現に向けた取り組みの根幹となるものとしています。
このデジタルプラットフォームは、2019年4月に北米で発表した2020年型セダン「キャデラックCT5(日本未導入)」向けに今年末から生産を開始し、2023年までにはGMのラインアップの大部分に採用される予定だそう。
GMでは、今後5~10年の間に自動車産業とクルマが進化するにつれ、電動化やGMの運転支援機能「スーパークルーズ」、先進のアクティブセーフティ機能などをすべて連携して作動するためには、より広い電気帯域幅と高い接続性が不可欠としています。
新しいデジタルプラットフォームでは、GMの現行の電気アーキテクチャと比べて5倍となる1時間当たり最大4.5テラバイトのデータ処理能力を備えています。
同システムを採用することで、スマホのように無線によるソフトウエア更新のための容量が増え、クルマのライフサイクルを通して機能のアップグレードを続けることができます。100Mbps、1Gbps、10Gbpsのイーサネット接続に対応するため、車内だけでなく車外との高速通信をいつでも行うことが可能だそう。
また、新しいアーキテクチャによりサイバーセキュリティが強化されます。GMは、グローバル・プロダクト・サイバーセキュリティ組織を設立した最初の自動車メーカーであり、社内のエキスパートチームは、不正アクセスの潜在的リスクから車両や顧客データを保護することに注力。
このデジタルプラットフォームは、電気、ハードウエアおよびソフトウエアのエンジニアのチームによって、GMの世界各国の施設で開発されたそうです。システムのDNAには、GMがこの分野で早くから取り組みを強化してきたハードウエアおよびソフトウエアレベルでの特別な保護機能が搭載されています。
(塚田勝弘)