印象的な左右対称インテリアの造形理由とは?デザイナーにインタビュー【新車 MAZDA3】

●マツダ3のデザインは、マツダのデザイテーマ「魂動」の最新・最強版

アクセラに代わってネーミングを『マツダ3』とした、マツダの新Cセグメント・セダン/ハッチバック(マツダでは『ファストバック(FASTBACK)』と呼称)。

圧縮着火と通常着火を組み合わせる『スカイアクティブ-X』エンジンをラインアップに加えるなど、注目ポイントは数多く存在していますが、何と言ってもインパクトが大きいのは大胆で美しいデザインでしょう。

とりわけエクステリアは2010年に始まったマツダのデザイテーマ『魂動(こどう)』の最新・最強版と言えるエッジの効いたもの。世界中のメディアから高い評価を得ています。

そこで今回クリッカーでは、その内外装デザインのコンセプトについて担当者に聞くことにしました。教えてくれたのはマツダ デザイン本部 チーフデザイナーの土田康剛さんです。

── 外装デザインのコンセプトを教えてください。

「マツダ3ではセダンとファストバック、それぞれでデザインコンセプトを変えています。セダンは『凛とした伸びやかさ』として、伝統的な3ボックス スタイルのプロポーションの上で、マツダならではの美しさを目指しています」

言われて見てみれば、ボンネット・キャビン・トランクを明確に分けつつも、フロントからリヤへと流れるワンモーション的なフォルムが新鮮です。またフロントのクロームメッキ仕上げのシグネチャーウイングや、水平基調もテールライト周りの造形などはこのマツダ3 セダンの大きな特徴です。

「一方でファストバック(ハッチバックモデル)は『色気のある塊』として、セダンとは真逆のプロポーションの取り方をしております」

世界中を探しても例のないほど、力強く大きな面を持つCピラーの造形。そして、ダークメタリック調のシグネチャーウイングの採用などで、セダンとは全く異なる個性になっていることがわかります。

── インテリアのデザインではどんなことに気を使いましたか?

「我々が狙ったのは『人とクルマの一体感』です。ここを突き詰めることで、マツダの目指す人馬一体の空間作りにつながると考えました。(これまでのマツダ車でも同様のコンセプトを持って造形してきましたが)今回のマツダ3では具体的には大きく2点、デザインを進化させました。
1つ目はインテリアデザインで『軸』を通したことです。ドライバーがクルマの中心であるということを感じていただくため、(ステアリング周辺の)すべての要素を左右対称としております」

実際にインテリアを見ると、ステアリングと3眼のメーター、それを囲むエアコンルーバーが線対称になっていることがわかります。

「またもう1点は、この左右対称のオブジェクトを、ドライバー側に向けて角度をつける形で配置したことです。これによって人とクルマの対話を高めるような設計としています」

少し引いてインテリアを見渡すと、ステアリング付近のみならず、センターディスプレイやドアトリムなども、全てドライバー側に角度をつけて配置していることが確認できました。

というわけで外から、中から、そしてどんな角度から見ても格好よくて、かつロジックを持って造り込まれているのがマツダ3の特徴なのでした。ディーラー等で実際に目で見てチェックすることをおすすめします。

(写真・文/ウナ丼)

この記事の著者

ウナ丼 近影

ウナ丼

動画取材&編集、ライターをしています。車歴はシティ・ターボIIに始まり初代パンダ、ビートやキャトルに2CVなど。全部すげえ中古で大変な目に遭いました。現在はBMWの1シリーズ(F20)。
知人からは無難と言われますが当人は「乗って楽しいのに壊れないなんて!」と感嘆の日々。『STRUT/エンスーCARガイド』という名前の書籍出版社代表もしています。最近の刊行はサンバーやジムニー、S660関連など。
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