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■コンパクトカーからミニバンまでが採用する代表的な駆動方式
●広い車内が作れるが発進時のトラクション確保で不利
FF方式は、フロントにエンジンを搭載した前輪駆動方式で、コンパクトカーやミニバンだけでなく、最近はSUVにも採用されている主流の駆動方式です。
なぜ主流となっているのでしょうか、FF方式の構成と特徴について、解説していきます。
●FF方式の構成と特徴
FF方式は、エンジンとトランスミッション、操舵装置がフロントに搭載されたシステムです。
現在は、軽自動車やコンパクトカーから、ミニバン、SUVまで広く採用され、駆動方式の主流となっています。
最大の特徴は、前輪が駆動輪と操舵輪を兼ねていることで、フロントタイヤや前輪ブレーキの負担が大きくなります。
フロントの重量配分が60%前後と重く、これが良くも悪くもFF車を特徴づけています。
●FFのメリット
主要機構がフロントに集中しているので、FRのように長く太いプロペラシャフトを前後に通す必要がないため、車室が広くとれます。特に小型車においては、車室空間レイアウトの自由度が高いことは非常に有利です。
エンジンとトランスミッションは、通常横置きなので動力伝達の方向を変更することなく、駆動軸に連結でき、伝達効率が優れているため燃費的に有利です。
重い前輪でクルマを引っ張るため、直進安定性に優れています。また、悪路や雪路での走行安全性にも優れています。FRに比べると、プロペラシャフトの不要など部品点数が少ないため、コストが安く、軽量化できます。
●FFのデメリット
主要機構をフロント(ボンネット下部)に収めるため、コンパクトにする必要があり、機構が複雑になります。当初は、この複雑さがFF化のネックになっていました。また、駆動力と操舵力を同時に前輪が負担するため、重い車両や高出力のクルマには向きません。
走行安定性に優れたFFですが、一方で発進からの加速が鈍いという弱点があります。急発進すると後輪に荷重が移動し、前輪荷重が減少します。前輪のトラクションが弱まることで加速力が低下してしまいます。
●FF車の旋回性能
FF車のコーナリング特性は、基本的にはアンダーステア傾向です。
コーナーで加速すると、フロントが重いために前輪のスリップアングルが後輪のスリップアングルより大きくなり、アンダーステアになりやすくなります。アンダーステアとは、旋回周よりも外側に膨らみ、曲がり切れなくなる現象です。
一方でコーナリング中に減速すると、エンジンブレーキが効いて前輪のスリップアングルが後輪のスリップアングルより小さくなって、オーバーステア傾向になります。オーバーステアとは、旋回周よりも内側に縮み、曲がりすぎる現象です。
FF方式は、過去には小型車中心に採用されていました。改良が進み、かつては採用が困難とされていた2L以上の中大型車への採用が進み、現在は主流となりました。
車室空間の広さと操縦安定性に優れ、運転技量によらない扱いやすさが、飛躍的に普及した要因です。
(Mr.ソラン)