新型センチュリーの「組立工程」もほかのクルマとはまったく異なった作業になっています。
センチュリーは各工程で少数精鋭での手作業で行われていて、組立工程は6人の手で行われています。左右に3人ずつ配され、約2300点もの部品を手作業で組み付けるそうです。
組立工程の外装部品では、ルーフサイドモール(いわゆる雨どい)の組み付けが解説されました。ルーフサイドモールは、17本ものビスを使ってSトルクで組み付けられていきます。
組立工程で最も驚かされたのは、生産(組み付け)される1台1台のセンチュリーに「私達の保証書 Century History Book」なるものが保管されていることです。もちろんオーナーの手に渡るものではなく、Sトルク計測部位が559カ所、一般保証チェック部位929カ所という、計1488項目の新型センチュリーの品質確認が記録されていることになります。
内装の組立工程も披露されました。取材向けにピックアップされたのは、リヤのディスプレイ付タワーコンソール。単に設置されているのではなく、後席左右席と水平になるように、さらにダッシュボード上部、インパネ、タワーコンソールの上辺が水平になるように調整。
水平方向だけでなく、後席とのわずかな隙間(約40mm)も左右で均一に組み付けられるというから驚きです。目視や手の感覚で調整されていきます。
なお、こうした心配りはオーナー(VIP)からの指摘ではなく、組立工程の職人魂によるものだそう。組立工程を取材していると、まったくジャンルは異なりますが、黒いエプロン姿の職人さんが宮大工の様子を見ているようで、思わずため息が漏れました。
(文/塚田勝弘 写真/水野孔男、塚田勝弘)