【独占インタビュー】国内ツーリングカーによるスプリントレース復活!TCRJは楽しめるレースになりそうな期待大

2014年に発表され、翌2015年から世界中で開催されて大活況の様相を呈しているTCR車両によるレース。近年国内でもTCR車両が耐久レースで活躍する中、満を持してJTCC以来21年ぶりとなるスプリントレース・TCR Japanシリーズ(以下TCRJ)が開催される運びとなり、5月18日に大分県のオートポリスで開幕を迎えます。

今回はそんな大注目のTCRJについて、日本TCRマネジメントCEOである倉下明社長と、TCRJの実況を務める水村リアさんにお話を伺いました。

── まず、TCRJ開催に至るまでの経緯についてお聞かせください。

2年ほど前、レース関係者から「TCRやろうよ」というお申し出を頂いて、なんの予備知識もないまま2017年5月にイタリアのモンツァで開催されたTCRレースを視察に行きました。

TCRJと同時開催されるスーパーフォーミュラ(以下SF)は、(日本のみならず世界的にもレースとして)突き詰めたところまで来ていますが、TCRレースは車好きな人が集まって、純粋にレースを楽しんでいる。そこに参加者の家族をはじめいろいろな人たちが集まってきて、土曜日の夕方には宴会をしたりして、みんなで楽しんでいる姿がとても印象的でした。

また、実際レースで走っている車も、ヨーロッパでは普通に町中で見られる車種がサーキットを走っていて、ぐっと親近感を感じました。かたや日本では今、そういう文化やレースがないのかなと、単純にいいなぁと羨ましく思いました。

SFも、もちろん面白いレースだと思ってますが、その一方で(SFのオーガナイザーとして)観客の動員を今よりさらに増やしたいとも思っています。そんな中で、もしそういう文化を定着させることができれば、SFというイベントそのものがスケールアップできることも期待できます。これはぜひやってみたいな、と思ったのがきっかけです。

── 視察から開催発表まで1年以上かかったわけですが、開催にこぎつけるまでの苦労や問題点などがあったのではないでしょうか?

SFはご存知の通り、トヨタさんとホンダさんというパートナーに助けてもらいながらやっているカテゴリです。ホンダさんはTCR車両としてシビックがありますが、トヨタさんは現状ではまだ取り組まれていない。TCRJ開催にあたり併催となるSFの大切なパートナーに温度差があったのが最初のハードルです。

また現状でもSF開催当日のタイムスケジュールが切迫していて、そういった時間的なことを含めて開催サーキットさんごととの調整もありました。さらにイベントとして経済的に自立してやっていけるかという環境の整備も当然考えなければならず、そういった部分には時間がかかりました。

そうした中、世界的にTCRレースのタイヤサプライヤーである横浜タイヤさんのご助力が、このプロジェクトを進める原動力となりました。

また、今回のTCRレース国内開催にあたっては、コックスさんと童夢さんという新しいパートナーが現れて、同じ気持ちで「一緒にやろうよ」と言ってくれた人たちがいました。こうした方々がいてくれたことが、なんとかこのプロジェクトを実現できた大きな理由です。

── そうした苦労の甲斐もあり、初年度から15台のエントリーを集めることになりました。

おかげさまでいい風が吹いて来ているんじゃないかと感じています。この機会を逃さないよう相当頑張らないとな、と思っています。