【週刊クルマのミライ】目標はニュル最速。680馬力のEVレーサー・VW「ID. R」はDRSも装備

●目標は6分45秒90を下回ること。ニュル北コースに合わせて油圧の可動式リアウイングを採用

2018年にアメリカ伝統のヒルクライムイベント「パイクスピーク」にてコースレコードを塗り替えたフォルクスワーゲンの電気レーシングカー「ID. R」が、2019年のターゲットに選んだのはドイツ・ニュルブルクリンクサーキット。

世界中のスポーツカーがベンチマークとするニュルブルクリンク北コース(ノルドシェライフェ)でのレコードタイム更新を目指して、ニュル仕様に生まれ変わりました。

リチウムイオン電池と2つのモーターだけによる電動駆動系の最高出力は500 kW (680 PS) 、ニュル専用の空力パッケージを与えられたことで最高速度は280 km/hに達するとアナウンスされています。

全長が20 kmを超えるノルドシェライフェではエネルギーマネージメントも重要ですが、回生ブレーキにより適切にエネルギーを利用するよう最適化されているといいます。さらに、空力抵抗の最適化を目指してF1マシンでも知られるDRS(ドラッグリダクションシステム)を採用しているのがニュル仕様のポイント。油圧により角度を変えることのできるリアウイングは最大で20%も空気抵抗を減らすことができるといいます。

すでにノルドシェライフェにおけるシェイクダウンを実施。ブリヂストンがサポートするタイヤテストも行われたといいます。その様子は動画として公開されています。

電動化にまい進するフォルクスワーゲンの象徴ともいえる電動レーシングカー「ID. R」。コースレコード更新という偉業達成の報は、フォルクスワーゲンのEVブランドであるID.が本格始動する今夏に合わせて届くことでしょう。

(山本晋也)

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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