●EVとハイブリッドの切り替えは極めて自然
3代目でミドルサイズセダンにスイッチしたホンダ・インサイト。全長4675×全幅1820×全高1410mmというサイズは、ライバルになるトヨタ・プリウスの全長4575×全幅1760×全高1470mmと比べると、100mm長く、60mmワイドで、60mm低くなっています。感覚的には、ひと回りインサイトの方が大きく感じます。
新型インサイトはプリウスよりも長くてワイドで、そして低く構えたフォルムは、なかなかスポーティ。マークXが生産を終えるなど、国産セダンが低調な中、カムリ同様に北米をメインマーケットに据えるこうしたセダンが日本市場でも貴重な存在になっていて、さらにその傾向は強まるはずです。
新型インサイトが搭載する「SPORT HYBRID i-MMD」は、2013年登場のアコードハイブリッド以来、着実に進化を重ねています。後席下辺りにIPU(リチウムイオンバッテリー、冷却ファン、ECUなどを一体化)を配置し、2モーター(発電用、走行用)と直結クラッチ、フライホイールなどをまとめたPCUをエンジンコンパートメントに配置。エンジンはアトキンソンサイクルの1.5L直列4気筒で、こちらはクラリティPHEVからインサイト用に吸排気システムが専用化されたものです。
この「SPORT HYBRID i-MMD」は、モーター走行を基本としながらもエンジンも始動するハイブリッド走行状態が多く、エンジンの停止(モーター走行のみ)と再始動を頻繁に繰り返すことで、緻密な制御がされているのが分かります。高速走行時には直結クラッチによりエンジンの出力軸を車輪へ直結することで、エンジンが得意とする速度域では、エンジンが主役のガソリンエンジン車になります。
今回の試乗車は「LX」。街中などではエンジンを発電機としても使うことで、ハイブリッドの利点を活かしている走りになります。先述したように、エンジンの再始動は頻繁に行われ、その音や振動はほとんど気にならず、速度が上がるとメーターのエネルギーフローを見ていないと分からない程度。
また、バッテリー残量によりEV走行も可能ではあるものの、バッテリーと速度によっては早めにハイブリッド走行になるため、早朝深夜の住宅街でEVモード使うなど、クラリティPHEVと比べるとかなり限定的といえそうです。
今回の試乗では、173.5km走行し、8.83Lを給油したので、満タン法では19.6km/Lという燃費でした。なお、高速道路が約7割、一般道が約3割で、とくにエコランに徹したわけではありませんので、もう少し意識すれば容易に20km/L台前半は出ると予想できます。
(文/写真 塚田勝弘)