【BMW X4 M40i試乗】BMW自慢のスポーツクロスオーバーSUVは、走りも実用性も一級品のオールラウンダー

●あらゆるニーズに応えるオールラウンド性能を備えた欲張りな1台

2018年9月に新型にスイッチしたBMW X4は、SUVを示す「X」に偶数の4が付けられた車名からも分かるように、BMWが「SAC(スポーツ・アクティビティ・クーペ)」と呼ぶクロスオーバーSUVです。簡単にいうと、BMW X3のクーペ風SUVモデル。

遅ればせながらも、最も新型X4の世界観を濃厚に味わえる「X4 M40 i」に試乗する機会がありましたのでご報告します。「B58B30A」型の3.0L直列6気筒M Performanceツインパワーターボ(ツインスクロールターボ)を搭載し、360ps/5500rpm・500Nm/1520-4800rpmというスペックを得ています。BMW自慢の「ストレート6」エンジンは、早朝出かける際は少し躊躇するほど、イグニッションオンで勇ましい音で目覚めます。

街中から走り出すと、「エコプロ」モードにしておけば扱いにくさとは無縁で、首都高速くらいの速度域であれば「ノーマル」でも十分。低速域から加速は非常に滑らかで、しかもパーシャル域から加速する時もツキのいい反応を示してくれます。組み合わされるトランスミッションは8速スポーツATで、こちらの変速フィールもスムーズかつダイレクト感もあるという相反する要素を見事に実現しています。

真骨頂という速さを見せてくれるのが高速道路やワインディングで、「スポーツ」モードにすると緻密な回転フィールを伴いながら360psとは思えないほどのパンチ力でグイグイと加速。減速時にはブリッピングを伴いながら、コントロールしやすいブレーキで高速コーナーを駆け抜けていきます。

ハンドリングもクロスオーバーSUVとは思えないほど軽快で、「X4 M40i」が搭載する「Mスポーツ・ディファレンシャル」付のフルタイム4WDは、状況に応じて前後輪へ瞬時に駆動力を配分するシステム。この電子制御式4WDにより、コーナーの大小を問わず、高い回頭性が得られるなど、電制デバイスの助けもあり大きさを感じさせない動きを披露してくれます。

ピレリ「P ZERO」の245/40R21サイズを履く足まわりは、路面によってはボディが揺すぶられるシーンはあるものの、乗り心地は重厚で、スポーティな高級モデルにふさわしいもの。後席に急なゲストを招いても不快な思いをさせることはないはずです。

前席は身長171cmの筆者には頭上も横方向も広々していて、後席も先代よりも空間が広くなり、大人4人で乗れる実用性を備えています。難があるとすれば、そのスタイリングからも分かるように後方視界の狭さで、狭い場所での取り回しや駐車時などには気を使います。

「BMW X4 M40i」は、クロスオーバーSUVというフォルムをまとった実用的なスポーツカーであり、SUVの使い勝手、実用性によるオールラウンド性能も備えた、欲張りな1台といえるでしょう。なお、ラゲッジ容量は通常時で525L、最大で1430Lにまで拡大します。

(文/写真 塚田勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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