【週刊クルマのミライ】フォルクスワーゲンが調査。電気自動車はCO2排出量が圧倒的に少なくなる可能性がある!

■EVのCO2排出量は59g/kmまで下がる可能性がある

ダウンサイジングターボの旗手となり、クリーンディーゼルの推進者ともなった独・フォルクスワーゲンは紆余曲折があり、いまは電動車両推しのリーダーとなっています。とくに将来的に電動車両の中心となるであろうゼロエミッションビークル「100%電気自動車(BEV)」についてはバッテリーのサプライチェーンを整えたり、電動プラットフォームの拡大を発表したりするなど注力しています。

そんなフォルクスワーゲンが、BEVとディーゼル車のLCA(ライフサイクルアセスメント)について調査結果を発表しました。LCAというのは生産から廃車までを考慮するという考え方で、一台のクルマにおけるカーボンフットプリント(CO2排出量)をLCAで考えるというのが現代のトレンドです。

走行中にはゼロエミッション(排ガスを出さない)であるBEVも、LCAで計算するとそれなりのカーボンフットプリントであることは多くの識者から指摘されていますが、フォルクスワーゲンの調査結果はどうなったのでしょうか。サンプルとなったのは同社の中心モデルであるゴルフからチョイス。ディーゼルの「ゴルフTDI」とBEVの「e-ゴルフ」のカーボンフットプリントをLCAを比較した数値が示されました。単位は走行距離あたりのCO2排出量となる「g/km」です。

■生産時のCO2排出量は電気自動車のほうが圧倒的に多いが…

結論からいうと「ゴルフTDI」は140g/km、「e-ゴルフ」は119g/kmと発表されました。BEVはCO2排出量が少ないというわけです。しかし、これは20万kmの走行を想定したものであり、最初からBEVが優秀というわけではないようです。

たとえば、このカーボンフットプリントにおける生産時の割合は、ディーゼル車が29g/kmなのに対してBEVは57g/kmとなっています。同じ「ゴルフ」ですからボディの生産については大差が生まれる要素はありません。主に生産時の違いはバッテリー生産時に使うエネルギーが大きいことが影響しているということです。逆算すればわかるように、それぞれ使用段階(走行時)におけるCO2排出量はディーゼル車が111g/km、BEVは62g/kmとなります。

ただし、使用段階でのCO2排出量は固定されているものではありません。ディーゼル車についても燃費が向上すれば減ります。しかし、BEVでは発電方法によって大きく変化します。

62g/kmという数値はEUのエネルギーミックス(発電方法の組み合わせ)を参考にしたものですが、再生可能エネルギーの比率が高まれば、この数値はどんどん小さくなります。仮に、すべての電力を太陽光や風力といった再生可能エネルギーでまかなうと仮定すると、使用段階でのCO2排出量は2g/kmまで減るといいます。つまり、BEVのLCAにおけるCO2排出量は59g/kmまで減らせる可能性があるというわけです。

さらにバッテリー生産時のエネルギーも削減の余地があります。フォルクスワーゲンが2020年より発売を予定しているBEV「ID.」に搭載されるバッテリーは生産時のカーボンフットプリントを25%以上も削減可能になっているといいます。さらに生産時に使う電力についても再生可能エネルギーの比率が高まることでCO2排出量の削減につながります。フォルクスワーゲンは具体的な数値を明らかにしていませんが、技術進化とエネルギーミックスの変化次第ではBEVのLCAにおけるCO2排出量は50g/kmを切ることが十分に視野に入ってきているといえそうです。

さすがに、このレベルになると内燃機関では太刀打ちできません。環境負荷を考えると、いつかはBEVが主流になるということでしょうか。

(山本晋也)

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