なんと車内にロールバー(のようなもの)が! レクサスLMのパーティションの秘密とは?【上海国際モーターショー2019】

●左右の柱と柱を強固につないで、ボディをがっちり補強する!

上海で突如公開された、レクサスのミニバン「LM」。その注目ポイントといえば、レクサス史上最大の面積を誇るフロントグリル……ではなく、これまで乗用車用としては見たことがないほど大型で立派な後席、そして1列目と後席を区切るパーティションですね。

パーティションは、「運転席空間」にあたる前席と「主空間」である後席を隔てることで、後席のプライバシーを確保するためのもの。一般生活では縁がありませんが、海外の映画やドラマでVIPがクルマ移動しているシーンなどで見かけるやつですね。ハワイでリムジンに乗ったときに実際に見たことがある、という人もいるかもしれません。

LMのパーティションには26インチのテレビ、シャンパンを冷やせる冷蔵庫、そして昇降式かつ閉じた状態ではスイッチで瞬時に透明と“曇り”が切り替わるガラス窓などが装着されているわけですが、実はその内部構造も驚くものでした。

なんと、鳥居のような形状で丈夫な金属の骨が入っていて「それが左右のBピラーにしっかり結合されることで構造材として車体の補強になっている」とのこと。

つまり、左右のBピラーをつなぐロールバー(レースなど競技車両で室内に設置される鉄パイプ。安全性向上と車体剛性アップの役割がある)と同じように車体の変形(ねじれ)を抑えてくれるわけです。あくまでパーティションの内部構造なので、見えませんけどね。

ミニバンのような箱型ボディは「マッチ箱変形」と呼ばれるマッチ箱が斜めにつぶれるような歪みが発生しがちですが、それを防ぐというわけですね。また、車体の共振を抑えて乗り心地が良くなるメリットもあるでしょう。

いずれにせよ、床や天井付近以外で左右のBピラーを構造材でつないだ乗用車なんて2シータースポーツカー以外ではこれまで見たことがありません。レクサスLMは見えるところも凄いけど、見えないところもかなり凄い、という話でした。

(工藤貴宏)

この記事の著者

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工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに執筆している。現在の愛車はルノー・ルーテシアR.S.トロフィーとディーゼルエンジンのマツダCX-5。
AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。
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