【日本のモータースポーツにかける意気込みがうかがえるアストンマーチンの新型GT3マシン】
国内主要レースの中で先陣を切って開幕したピレリスーパー耐久シリーズ2019。3月23日・24日に鈴鹿サーキットで開催される「SUZUKA 春の陣」は5時間のフォーマットで行われます。
今年のスーパー耐久は様々な新型マシンが導入され、ひときわ話題の多い開幕戦となっていますが、その中でも最大の注目はD’STATION RACINGが導入したアストンマーチンの新型GT3マシン・Vantage AMR GT3ではないでしょうか。
昨年のル・マン24時間レースの際に発表され、10月からデリバリが開始されているVantage AMR GT3。これまでのアストンマーチンのGT3マシンといえばV12エンジンのイメージが強いですが、AMR GT3では4リッターのV8ターボエンジンが搭載されています。
4リッターとはいえV8エンジンだと大型なものを想像しがちですが、ボンネットを外した状態を眺めてみるとそこにあるのは大きなカーボンダクトとラジエターやオイルクーラーなどの冷却系パーツばかり。エンジンはどこ?
探してみるとフロントの車軸のかなり後方にエンジンがマウントされています。フロントミッドシップというレイアウトとなりますが、その中でもかなり後方に位置していることがお分かりいただけると思います。
また、ペダルの位置からも分かるように、エンジンの配置のためにコックピットもかなり後方に配置されます。
ボンネットを外した状態でもはっきりとわかる極端なワイド&ロー。見た目からして速そうなイメージを醸し出しています。
もう一つ驚くべきは、スーパー耐久のBドライバーとしてアストンマーチンワークスドライバーのダレン・ターナー選手が走ること。Vantage AMR GT3のワールドデビューレースともいえるアブダビのガルフ12時間レースでいきなり4位となったドライバーで、アストンマーチンワークスドライバーのエースともいえる存在。そんなターナー選手が走るということでアストンマーチンが日本のモータースポーツにかける意気込み、本気度がお分かりいただけるでしょう。
SUPER GTにもアストンマーチンVantage AMR GT3は7号車として登録されていますが、スーパー耐久の777号車とは別の個体です。つまり各々のカテゴリーで頂点を目指していこうというのです。そんな本気をSUPER GTよりも一足先に見ることができる幸運。ピレリスーパー耐久シリーズが世界に認知されだしたことの証左ではないでしょうか。
ちなみにAMRとは「アストンマーチンレーシング」の略で、メルセデス・ベンツのAMG、BMWのMに相当するハイパフォーマンスブランドでありモータースポーツブランでもあります。
この記事の執筆時にはあくまで暫定結果ですが予選2位を獲得した速さ。これからまだまだ熟成が進むと考えるとライバルにとってはかなり恐ろしい刺客が登場した、と言えます。ピレリスーパー耐久シリーズ2019開幕戦「SUZUKA 春の陣」は3月24日12時30分に決勝スタートです。
(写真・文:松永和浩)