【新型マツダ3海外試乗】ロサンゼルスの山道を驚くほどスムーズに駆け抜けたマツダ3

■2.0Lハイブリッドと2.5L自然吸気に試乗。好印象だったのはHV

アメリカ・ロサンゼルスで行われた新型マツダ3の海外試乗会に参加した松田秀士さん。2種類のボディとエンジンに試乗したインプレッションをレポートしてくれました。残念ながらスカイアクティブXの用意はなかったようですが(ガクッ)、松田さんが新型マツダ3でとくに印象に残ったのは、「スムーズで分かりやすいハンドリング」のようです。

●ハンドリング、乗り心地、静粛性が明らかに進化した新型マツダ3

試乗車は、5ドアが24Vのマイルドハイブリッドを採用した2.0L自然吸気・直4エンジン+6速MTの欧州仕様。4ドアセダンが2.5L自然吸気・直4エンジン+6速ATの米国仕様だ。

日本で発売される可能性が高い2.0Lマイルドハイブリッドは、24Vのベルト駆動B-ISG(インテグレーテッドスタータージェネレーター)。オルタネーター(発電機)を駆動も発電も行うモーターに置き換えたもの。回生で発電した電気エネルギーはリチウムイオン電池に蓄える。エンジンそのものはそれほどパワーを感じないが、試乗会場となったウエストハリウッド(ロサンゼルス)の渋滞も6速MTながら苦にならない低速トルク。ワインディングではシフトアップの度に回生をかけてエンジン回転を早く落とさせ、素早いシフトワークが決まる。これならATよりMTの方が楽しい。もちろんアイドリングストップも行い、ハイブリッドゆえに力強く素早いエンジン始動を行っていた。

2.5L米国仕様は、やはり力強く6速ATとの相性も良い。ただし、高回転域のスムーズさと振動やノイズの小さい2.0Lマイルドハイブリッドエンジンの方が好印象だった。

●ワインディングを走れば「ちょうどいい」という言葉がピッタリ

さて、最後にハンドリングの話をしたい。じらしたわけではないが、肝心な話が最後になってしまった。一番気になったのがリアサス。独立懸架(マルチリンク)から、左右が繋がったトーションビーム式になった。サスペンション形式的にはランクダウンしたことになる。しかし、走るとよく曲がるし、乗り心地も静粛性も明らかに進歩している。試乗のメインルートはアンジェリス・クレストという、箱根のようなワインディング。アップダウンが激しく、長く曲がり込んだコーナーも多いことが特徴。

ここではコーナリングの始まりから出口まで、とてもスムーズで分かりやすいハンドリング。気が付けば低速から高速域まで、一貫して自然にステアリングワークを行っている。初期応答はクイックでもなくスローでもなく、ちょうど良い。かといってロールしてサスペンションストロークを出しているのかといえば、そうでもない。

ロールは魔法のような感触のバンプストッピングラバーに抑えられ、大きく車体が傾く感じはしない。タイヤの変形を操舵初期に完了させ、サスペンションの動きを阻害させないようにしているのだという。これがなかなか決まっていて、しかも上下動が少なく乗り心地も良い。

最後に。標準仕様のオーディオが素晴らしく良かった。ドアからスピーカーを取り去り、そこを塞ぐことでノイズの侵入を断ち、スピーカーはAピラー下の足元に移動。ボルボXC40の手法と似ている。大音量にしてもビビり音一つ出ず、インテリアの造りの良さとノーマルオーディオへのこだわりにも感動した。

(松田秀士)