【東京オートサロン2019】HKS製のコンプリートGT-R「ZERO-R」を知っているか?

1月11日(金)〜13日(日)に千葉県・幕張メッセで開催されているカスタムカーの祭典「東京オートサロン2019」。初日の11日にはコラボレーションコンテンツの一つとして日本発のカーオークション「東京オートサロン・オークション with BH Auction」が開催される。昨年の東京オートサロンの大反響を受けて総勢50台のコレクタブルカーが出品されています。このオークションは他のカーオークションでは出品されることは極めて少ないチューニングカーが出品されます。今回も数台チューニングメーカーが製作した車両が数台出品されました。

その中の1台「1993年式 HKS ZERO-R」は、日本のチューニングパーツメーカーの代表格・HKSがR32型スカイラインGT-Rが発売直後に開発販売したコンプリートカーになります。コンセプトは、「ドイツのアウトバーン(高速道路)の速度無制限区間で300km/hで走行可能」。つまりただパワーアップするのではなく、快適性と走行安定性も配慮したGTカーとして実際にアウトバーンでの高速テスト、ニュルブルクリンクでの走り込みといった現行GT-Rのような開発プロセスを経て誕生しました(この開発の様子は当時のビデオオプションの特集映像として収録された)。

として誕生から30年近くたった現在、発売してから度々HKS TF(テクニカルファクトリー)がリファインしたZERO-Rを製作しています。今回出品された個体は、当時のコンセプトをより高いレベルに引き上げた1台になります。

心臓部であるRB26DETTは、2568ccから2688ccにボアアップされています。ZERO-Rオリジナルは、T04Eシングルターボで450馬力前後を発揮しましたが、それをHKS TFがGT2530ツインターボ化、更にHKSの可変バルブ機構「V CAM」を採用し600馬力前後までパワーアップしつつも街乗りでのエンジンレスポンスが向上しています。足回りもHKSによって市街地から超高速・300km/hでも安定した走行を実現しています。

エアロダイナミクスは、今ではスーパーカーではポピュラーなフロアのフラットボトム化、燃料タンクをリアシート下に移動させたことでリアエンドのディフューザー化を実現しました。インテリアは、燃料タンクの移動よって完全2ツーター化し運動性能を改善。「ZERO-R」刺繍入りのセミバケットシート+Sabeltハーネス。グローブボックスにEVCをはじめとした電気系コントローラーをしまうことでオリジナルのデザインを維持しています。

足回りはレイズ製ホイール、ブレンボキャリパー。タイヤはミシュランパイロットスポーツを装着しています。

発売当時、ベースの3倍以上の1600万円近いプライスで1〜2台のみ販売されたそうです。うち1台はブルネイの王族が購入し、現在もブルネイの女性オーナー(王族かどうかは不明)の元で元気に走っているそうです。その後、HKSはセミオーダーメイドに近い形でTFによるリファインモデルを製作しオリジナルも入れて10台近いのZERO-Rが世に放たれ、現存しているのがその半分ぐらいと言われています。

今回のオークションの推定落札価格は1400〜1900万円となっています。チューニングメーカーが作った究極のRは一体だれの手に渡るのかが注目されます。

(文・写真 クリハラジュン)