●新型V60は「正統派エステート」といえる仕上がり
SUV人気の中にあってもボルボのラインナップで核となるのは、以前はエステートと呼ばれていたステーションワゴンでしょう。ワゴンで気になるのはやはり積載性。先代V60からどれくらいの容量アップを果たしているのでしょうか。
新型V60は、XC60などと同じように「SPA(Scalable Product Architecture)」を使い、ボディサイズは全長4760×全幅1850×全高1435mmとなっています。先代V60は、全長4635×全幅1865×全高1480mm。新型V60の方が全長が125mm長く、全幅は15mm狭く、全高は45mmも低くなっています。
テールゲートを開けると荷室は先代よりも奥行きがあり、かなり広くなっているのが実感できます。荷室容量は先代V60の430L-1241Lから529Lと約100Lも増えていて、さらに、後席を倒すと最大で1441Lまで拡大。先代V60はスポーツワゴンという位置づけでしたが、新型V60になり、低く構えたフォルムではあるものの、正統派エステートになったともいえそう。
さらに、先代V60の上位にV70があったからという理由もあるでしょう。V70の系譜を受け継ぐのが新型V60と考えると、529L-1441Lという容量は妥当。最終型となる3代目V70は575L-1600Lでしたので、容量的にはV70よりも少なくなっています。なお、V70は全長4815×全幅1890×全高1545mmと、新型V60よりもひと回り大きく、荷室サイズの差につながっているのは当然といえます。
さて、先代V60よりも容量を拡大しただけでなく、フラットフロアで出し入れしやすい設計に加えて、電動開閉機構やハンズフリーテールゲートなどの利便性の高い装備も用意。フロアボードを使って(手前側を上に上げる)分割できるなどのお馴染みの機能も完備しています。
また、背が低くなったことで、気になるのは頭上まわりの居住性でしょう。身長171cmの筆者ならフロントシートは十分にゆったりしていて、圧迫感は抱かせません。全幅が狭くなった影響も先代V60と比べると、ほとんど影響なしといえる印象。
一方の後席は、足もとは十分に広いものの、頭上まわりは少し狭く感じます。それでも前後席ともにシートサイズはたっぷりしていて、十分に快適。ワンクラス上の快適性が味わえるだけでなく、V90だと日本の道路事情では持て余し気味といえるサイズですから、ボルボが新型V60を販売面の主力に据えるというのは、500万円を切るエントリー価格も含めて非常に説得力があります。
(文/写真 塚田勝弘)