【レクサス・ES】開発者に訊いた、低く流れるボディデザインを作ったハードウェアの秘密とは?

7代目にして初めて日本に投入されることになったレクサスES。2.5Lハイブリッドユニットを搭載するFF方式のラグジュアリー・セダンです。


このモデルの特徴は数多くありますが、何と言っても最初に気づくのが、その流麗なスタイリング。

乗員スペースとトランクスペースをしっかり確保した上で、同じレクサスの最上級モデル・LSのような伸びやかなフォルムを実現しています。このスタイリングを可能にしたのはデザイナーの腕……というのはもちろんですが、実はハードウェア的に大きな秘密が仕込まれているのです。

その点について今回、ES300hの製品企画 主査・鬼頭幸博さんに教えてもらいました。

── デザインのターゲットを教えてください。

「魅惑的なエレガント、をテーマにしました。エクステリアは一目見てかっこいいと思っていただけるようなロー&ワイドなプロポーションとしています。またサイドを見ると特徴的ですが、伸びやかなクーペのようなシルエットになることも目指しています」

── なるほど。

「内装につきましては、運転席はドライビングに集中させるような、そしてエモーショナルな造形となるように注力しました。また同乗者には上質な快適性を提供できる空間作りを第一に考えました」

 

── このエクステリアデザインを達成することができた、ハードウェア上の要点を教えてください。

「新型のGA-Kプラットフォームを使うことで、低くワイドな土台が作れました。フード後端にはポップアップ機構を採用し、歩行者保護の規準もクリアさせつつ、可能な限り低いボンネット高を実現するなどの工夫をしています」

── 言われてみれば、確かに低いですね。

さてサイドを見るとレクサスLSのように伸びやかな形になっていますね。これはどうやって達成したのでしょうか。

「Aピラーの付け根を可能な限り後退して配置することで、ロングノーズのシルエットを確立しました。さらに新型プラットフォームを採用したことでリヤシートのヒップポイントを下げることに成功しています。このことでヘッドルームに余裕が生まれ、テールに向かってなだらかに後傾していく低いルーフ(と緩角度のCピラー)を実現することができたのです」

というわけでレクサスESの、まるでFRセダン・クーペのようなフォルムを実現できた背景には、新型プラットフォームと「格好いいエクステリアとするんだ」という開発陣営の強い意思があった、という話でした。

(写真・動画・文/ウナ丼)

この記事の著者

ウナ丼 近影

ウナ丼

動画取材&編集、ライターをしています。車歴はシティ・ターボIIに始まり初代パンダ、ビートやキャトルに2CVなど。全部すげえ中古で大変な目に遭いました。現在はBMWの1シリーズ(F20)。
知人からは無難と言われますが当人は「乗って楽しいのに壊れないなんて!」と感嘆の日々。『STRUT/エンスーCARガイド』という名前の書籍出版社代表もしています。最近の刊行はサンバーやジムニー、S660関連など。
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