【ホンダ・ジェイドRS 試乗】想定以上に機敏なハンドリングと元気のいい直噴ターボエンジン

実際に乗ってみました。

ジェイドのCVTには無段階変速のほかに加速時、アクセルの踏み方や車両の置かれた状況などによってはステップシフト制御が行われます。

これはDCTのようにステップを刻みながら変速していくもので、運転フィールの向上に寄与しています。また、強く減速するときなどにはやはり擬似的に有段ギア的にステップを切りながらエンジンブレーキをかけてくれる機能もあります。

エンジン自体も想定外に元気で、1450kgという軽くない車体を軽快に引っ張ってくれます。

ハンドリングに関してはこの大人っぽい見た目から想像しづらいんですが、ステアリングの操作に対してかなり機敏に車体が向きを変えるセッティングになっています。

こうしてジェイドRSの内外装をチェックして、走りながら考えました。「果たしてこのクルマはどういうユーザーに向いているんだろう」と。

少なくともジェイドがデビュー当初にまとっていた方向性である「ミニバンにしては背が低い」と言う切り口では難解だろうなということは確かです。

・大人四人がしっかり乗れて荷物を積むスペースも広大。
・ピックアップのいいエンジンと元気のいいハンドリング。

これらの要素を取り出してみるとピーンと連想される車種がありました。フィットRSです。


ではこのフィットRSに近いモデルはなんだ、と逆算してみましょう。

ホンダには、シャトルという大容量ワゴン(全長×全幅×全高:4400×1695×1545mm)が存在していますが、シャトルはラゲッジ容量の大きさを強くアピールする車種で、スポーティという印象が前面に出てくるものではありません。

実はジェイドの全高はシャトルとわずか5mmしか変わりません(全高:1540mm)。つまり十分な高さで室内容積を確保しているにもかかわらず、全長の長さと全幅のワイドさ(全長×全幅:4660×1775mm)でどっしり安定したスポーティな見た目を獲得しています(もちろんデザイナーのセンスによるものも大きいです)。

人と荷物をいっぱい積めるという、標準フィットの延長上にあるのがシャトルだとすれば、多く積める上でスポーティーさも命のフィットRSの先にあるのはジェイドでしょう。

というわけでジェイドRSは、「フィットRSの上級・大型・ハイパワー版」だと考えるとキャラクター的に分かりやすいと思います。

(写真・動画・文/ウナ丼)

この記事の著者

ウナ丼 近影

ウナ丼

動画取材&編集、ライターをしています。車歴はシティ・ターボIIに始まり初代パンダ、ビートやキャトルに2CVなど。全部すげえ中古で大変な目に遭いました。現在はBMWの1シリーズ(F20)。
知人からは無難と言われますが当人は「乗って楽しいのに壊れないなんて!」と感嘆の日々。『STRUT/エンスーCARガイド』という名前の書籍出版社代表もしています。最近の刊行はサンバーやジムニー、S660関連など。
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