さすが「微笑みの国」。タイのトイレカーは圧巻のおもてなし

サーキットやアミューズメントパーク、イベント会場などで大切だといわれる施設のひとつがトイレ。どんなに楽しい場所でもトイレが汚かったり、使いづらかったりするとその会場の人気は一気に薄れてしまうといわれています。

日本の常設のトイレはかなり高いレベルの清潔さ、快適さを誇っています。商業施設やオフィスならば、温水洗浄便座付きとなっているのは当たり前になっています。しかし海外、とくに東南アジアのトイレにはみなさんどんな印象をお持ちでしょうか? 感心するほどのトイレに出会ったことはないかもしれません。

ところが今回私が出会ったトイレ、しかも移動式のトイレカーは日本で見かけたどのトイレカーよりも素晴らしいおもてなし感にあふれていました。

車内に入ってまずビックリさせられたのが、その室温です。屋外が30℃を超えているにも関わらず、車内はヒンヤリとした室温となっています。そして、柔らかなアロマオイルの香りがただよい、間接照明によるゆったりとした空間がそこにはありました。

床はウッドもしくはかなりリアルなウッド調です(さすがに撫でて確認する勇気はありませんでした)。雰囲気は高級ホテルのトイレです。

便器そのものも陶磁器製で、常設トイレと同じような水洗となっています。タイでは日本の温水便座のような装備はないのが普通ですが、用を足したあとに洗うためのシャワーがよく備えられています。このトイレカーにはそれもきちんと用意されていました。

タイのこうしたトイレの場合は、シャワーではなくバケツに水が入っていて、それが横に置かれていることが多いのですが、こうしたケアもきちんとおこなわれていました。また、手洗いに関しても外側にきちんと装備され、鏡やペーパータオルも用意されています。

こうしたホスピタリティについては、日本はかなり高いレベルを持っていると思っていただけに、タイでこんなに素晴らしいトイレカーを見させられると、ちょっとビックリしてしまいました。

炎天下のなか、トイレに入ったらもう出たくなくなってしまうようなトイレ……いやいやトイレで出たくなくなったらそれはだめですね。おあとがよろしいようで……。

(文/写真・諸星陽一)

この記事の著者

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諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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