【CR-V・フォレスター・エクリプスクロス比較】トルクの味付けがまったく違う3車

最新SUVのCR-V・フォレスター・エクリプス クロスを一気に集めて比較する全3回企画の第2弾。今回は走行編です。

1台だけを見ていると「最近のクルマはどれも完成度高いなあ」なんて感心して違いに気づきにくいのですが、こうして同時に比べると実は各車、けっこうな個性があることに気づきます。
たとえば同じ1.5L直噴ターボのCR-Vとエクリプス クロスですが、実際には真逆のエンジン特性という発見があったり。

テストするのはライターのウナ丼、スバルマニア・ライターでSUBARUモータースポーツ応援プロジェクト・マネージャーも務める「いもっち」こと井元貴幸、スーパー耐久レーサー兼メカニックの「まっつん」こと松本和之の3名です。

まずはCR-V EX・マスターピースから走行開始します。

試乗した車両のユニットは1.5L直噴ターボ。最高出力は190ps/5600rpm、最大トルクは24.5kgm/2000-5000rpm。前後サスペンションはストラットとマルチリンクとなっています。

井元「感心するのはCR-Vのラインナップの多さです。ガソリンとハイブリッドがあり、FFに4駆。そして5人乗りと7人乗りをラインナップしてますもんね」

松本「フォレスターはパワーユニットは2種ですが4駆のみ、エクリプス クロスはFFと4駆が選択できますがエンジンは一種類ですもんね。で、いずれも定員は5名のみ」
ウナ丼「CR-Vだけ唯一、7人乗りを選択できる、と」
井元「あのね、こういうSUVを買う年代って、若いときには速いクルマでブイブイ言わせていた人も多いと思うんですよ。それがあるとき家族を持ってみたら奥さんにミニバン買ってくれとかって言われちゃうんですよね」
ウナ丼「ありがちな話です」
井元「だから、多人数乗り車になるのは仕方ないとしても、運転する楽しさは譲れないという人はこのCR-Vの7人乗りぐらいがちょうどいいんじゃないでしょうか」

松本「ホンダらしい、素直に応答するステアリングフィールを感じますね。コーナリング時にスバルとはまたニュアンスが違いますが、ロールが少なくていい感じです。スバルは低重心ユニットゆえの安定感がありますが、ホンダは車両全体のセッティングでその安定感を出してる感じです」
井元「この1.5L直噴ターボは過給器付きというより大排気量NAみたいなフィーリングで乗りやすいですね。まあ、でもそれが絶対的にいいかは好みの問題で、中にはどうせターボならガツンとくるような加速がいいといういう人もいます」

ウナ丼「それはスバル乗り全般の話ではないんでしょうか(笑)」
井元「そう! そんなスバル乗りの代表的な例が私です(笑)。今乗っているレヴォーグも、本当は1.6Lターボでも性能的には十分なのに、より強い加速を求めて2Lターボにしたんですよ私は。装備なんて1.6Lと一切変わらないのに、50万円高くても払っちゃうんですよ。もうこれは性(さが)です」
ウナ丼「(長くなりそうなので無視して)それにしてもCR-Vのエンジンとシャシーは本当によくできてますよね」
松本「同感です。基本に忠実な作りだと思います」

続いてフォレスター・アドバンス。パワーユニットは2L直噴NA。最高出力は145ps/6000rpm、最大トルクは19.2kgm/4000rpm。これに13.6psのモーターが追加されます。

前後サスペンションはストラットとダブルウィッシュボーンとなっています。

井元「ああ〜、我が家に帰ってきたなという感じがします。スバルらしいというか。ところでふと思ったんですが、他社でもこういった『そのメーカーならではの我が家感』はあるんですかね?」
松本「僕はシビック等のホンダ車で長年レースをやってきましたし、普段の街乗りでもインテグラ・タイプRを持ってましたので言いますが、共通のホンダらしいフィーリングっていうのはありました」

ウナ丼「じゃあその『らしさ』はCR-Vにもある?」
松本「そうですね。同じような匂いを感じますよ」
ウナ丼「ところでスバルらしい、っていうのはどういうことでしょうか」
井元「なんと言っても視界の良さへの考え方でしょうか。例えば普通に運転していてもわかるのは全ての窓が大きいということですよね。でもそれだけじゃなくて、フロント部分の三角窓が大きく取られていて斜め前方の死角が減らされていたり、ルームミラーでぱっと見た時の左後方視界の良さを追求する点なども共通しています」

ウナ丼「ところでこのマイルドハイブリッドではモーターがまるでプチターボのように、力強い加速を助けている感じがしますね」
井元「2000rpmぐらいからのピックアップの良さはまさにモーターのおかげですよね。とりわけSIドライブ(走行モード制御システム)を『スポーツ』にすると、中速域の加速重視のモーター特性になるんです。そのモーター稼働状況はマルチインフォメーションディスプレイで見られますよ」

松本「あ、こうしてモニターを見てるとゼロ発進ではモーター稼働率が0%なんだ。で、ある程度車速が乗ってからモーターが作動して後押ししていく感じなんですね」
(編注:これはあくまでもスポーツモードでのこと。モードによってモーターが使われる領域は異なります)

井元「実際にこうして運転していても発進ではなく加速に使われてるなという体感があります。そこらへんが一般的なハイブリッドなどとはちょっと違ったフィーリングですね」

最後にエクリプス クロス Gプラスパッケージに乗りました。1.5L直噴ターボの最高出力は150ps/5500rpm、最大トルクは24.5kgm/2000〜3500rpm。前後サスペンションはストラットとマルチリンクとなっています。

松本「CR-Vやフォレスターよりもややロールは大きめに感じますね」
井元「外観の印象同様、車内空間もスポーティに、タイトに設定されているのが興味深いです。こうしたクルマでは一人で運転しているときなどに『この大きな空間を自分のためだけに使って移動するのはなんとなく後ろめたいなあ』という印象を持つこともあるんですが、この適度にタイトな空間では、そういったことを思うこともなく運転に集中ができます」
ウナ丼「アクセル踏むとエンジンの反応が良い。加速力が強いなあ」

井元「ターボ感ありますよね」
松本「グッとスロットルが開く感じがします」
井元「同じ1.5LターボでもCR-Vは大排気量NAっぽく、エクリプス クロスはターボらしい力強さがありますね」

ウナ丼「24.5kgmの最大トルクはCR-Vとまったく同数値なのですが、味つけの違いが大きいんですね」
松本「確かに。パワーがしっかり出ている感じがあります」

というわけで3台の試乗を終えました。

どれもトルク感のある走りが特徴でしたが、フォレスターはモーターを従来型ハイブリッドとは違う考え方で、パワーアシスト用としても積極的に使っているのが印象的。CR-Vは全域でトルクを盛り付けるという考え方。エクリプス クロスはターボらしい過給のかかり方を意図的に残している印象がありました。

けっこう違いはありますね。さて次回は最終回。インテリア&使い勝手チェック編です。

(写真・動画・文/ウナ丼)

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この記事の著者

ウナ丼 近影

ウナ丼

動画取材&編集、ライターをしています。車歴はシティ・ターボIIに始まり初代パンダ、ビートやキャトルに2CVなど。全部すげえ中古で大変な目に遭いました。現在はBMWの1シリーズ(F20)。
知人からは無難と言われますが当人は「乗って楽しいのに壊れないなんて!」と感嘆の日々。『STRUT/エンスーCARガイド』という名前の書籍出版社代表もしています。最近の刊行はサンバーやジムニー、S660関連など。
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