【ジープラングラー試乗】11年ぶりのモデルチェンジで、ジープはSUVとなったのか?

ジープという名前を聞けば誰もがそれが高いクロスカントリー性能を誇る4WDモデルであることがわかるメジャーブランドです。本国アメリカを除けば、日本が一番ジープが売れているというのですから、びっくりでもあります。

なかでもラングラーは、1941年に登場したウイルスMB直系のヘビーデューティなモデルとして世界中から注目されているモデルです。

そんなラングラーが11年ぶりとなるモデルチェンジを果たしました。

従来モデルに比べてホイールベースは65mmも延長され、5ドアでは3010mmとなりました。素晴らしいのは、ここまでホイールベースを延長しながら、最小回転半径は従来モデルに比べて0.9mも短くなっていて、取り回し性が向上していることです。

クルマのサイズそのものが大きい(全長×全幅×全高=4870×1895×1840mm)ので、交差点などではそれなりに気を使いますが、以前感じた“持て余す”感はなくなっています。

かつてSUVはRVやクロスカントリー4WDという呼び方をされていました。もともと軍用車としてスタートしているジープは、戦地をはじめとした不整地での高い走行性能を重視して作られたモデルです。そしてそのDNAは現代に引き継がれています。

かつてのRVやクロスカントリー4WDをSUVと呼ぶ風潮はありますが、ラングラーはその方程式には当てはまらず、今もクロスカントリー4WDのままであるといえます。

もちろん、現代に通用する快適性やユーティリティ性は十分に備えていますが、その根本はクロスカントリー4WDのままだといえるでしょう。ディープパープルがヘビメタにならずにハードロックのままでいるのと同じなのです(わからない人が多いだろうなあ)。

(文/写真・諸星陽一)

この記事の著者

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諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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