待望の新兵器も室屋選手は不発。チャンピオン争いは大混乱!【レッドブルエアレース・インディアナポリス】

【ラウンド・オブ・14】

決勝日は好天。気温が高く、機体の速度差は小さくなり各パイロット腕の差が勝負を分ける。

・ヒート1 室屋選手はベン・マーフィー選手との対決となった。マーフィー選手は今回練習・予選を通して12,13番手。タイムが1分6秒を彷徨い調子が奮わない。比較的楽な相手と思われた。実際、ここでも1分7秒130のタイムだった。後攻で飛行の際ゲート13で僅かに速く機体が動き、インコレクトレベルを喫する。1分5秒台駆け抜けたが、ペナルティで1分7秒734。……まさかの初戦敗退であった。

・ヒート2 今シーズン好不調の波が激しいブラジョー選手、1分6秒295で予選を0.8を上回る。イワノフ選手、1分5秒295と予選4位の好調さを見せ勝ち上がる。

・ヒート3 ボルトン選手、予選9位といつもよりやや上位で決勝に挑みノーペナルティで1分6秒163と悪くないタイム。後攻ドルダラー選手はゲート6でペナルティ。スモークも出ず合計3秒のタイム加算は勝負権が無く、敗退する。

・ヒート4 FP3で1分4秒前半を叩き出していた先攻ル ボット選手だが、1回目VTMで垂直上昇出来ず、更にゲート9でインコレクトレベルと合計3秒加算で自滅する。後攻ホール選手もゲート4でインコレクトレベルを喫するが、1分7秒164で勝ち抜けた。

・ヒート5 先攻グーリアン選手、1分5秒182の好タイムを記録するも、後攻マクロード選手は1分4秒223のスーパータイムを叩き出す。昨年中盤、予選無双だったマクロード選手がここで魅せた。

・ヒート6 コプシュテイン選手、ノーペナルティだが1分7秒902と伸び悩む。後攻ベラルデ選手、1分6秒094で勝ち上がる。

・ヒート7 先攻チャンブリス選手はFP3,予選と最下位の辛酸を嘗めていたが、ここで1分5秒140と本ラウンドでの2番時計を叩き出す。後攻ソンカ選手、1分6秒463のタイムではファステストルーザーにも残れず敗退した。ここに来てのたった1点。しかも、自身の敗退で最速の敗者として勝ち上がるのはタイトル獲得の可能性が残るグーリアン選手。消えかけていたグーリアン選手のタイトル獲得の炎が少し勢いを取り戻した。

【ラウンド・オブ・8】

・ヒート8 先攻ベラルデ選手、ゲート13でインコレクトレベルを喫し1分8秒843に終わる。後攻イワノフ選手、1分8秒583とノーペナルティーで貯金を使い切って勝利する。エンジンを労わったフライトに見える。

・ヒート9 先攻ボルトン選手、1分7秒888に終わる。後攻グーリアン選手は1分6秒489で落ち着いて勝ち上がる。

・ヒート10 マーフィー選手、予選を遥かに上回る1分5秒428を叩き出す。後攻チャンブリス選手は、1分7秒台でゴール後、ゲート2でTooHighペナルティを取られ、1分9秒781で敗退

・ヒート11 ホール選手、ゲート9で痛恨のパイロンヒット!マクロード選手は1分5秒756でファイナル4に勝ち上がる。ここでランキング2位も敗退し、チャンピオンシップが大きく動く。

【ファイナル4】

飛行の順序は勝ち抜け順、イワノフ・グーリアン・マーフィー・マクロードの順に飛行となる。マーフィー選手は初のファイナル4進出だ。

イワノフ選手 ノーペナルティ、1分6秒951 このタイムでは優勝は苦しそうだ。
グーリアン選手 ノーペナルティ、1分6秒208 トップに立つ。
マーフィー選手 ノーペナルティ、1分7秒863……3番手。グーリアン選手の2位が確定する。
マクロード選手 ノーペナルティ、1分6秒736……届かず、2位。グーリアン選手が母国優勝!

グーリアン選手、開幕戦以来の2勝目。ポイントを70ポイントに伸ばした。ソンカ、ホールら他の上位選手が1/5点とポイントを伸ばせず、それぞれ65/63ポイントに止まった結果、ランキング3位から首位に返り咲いた。

一方、室屋選手はノーポイント。最終戦は年間4位を目指し、また翌年のタイトル奪還に向けたフライトとなる。

グーリアン選手は次戦2位以上でタイトル獲得となる。

残り2名は2位以上が必須。ソンカ選手は優勝(65+15)し、グーリアン選手が3位以下(70+9)の場合か、2位(65+12)の場合は、グーリアン選手が4位以下(70+7)の場合(同ポイントの場合、勝利数が多い方が優勝)。

ホール選手は優勝(63+15)の場合はグーリアン選手が4位(70+7)以下、2位(63+9)の場合はグーリアン選手が9位以下(70+2)でソンカ選手が5位(65+6)の場合、タイトル獲得の可能性が残された。

最終戦フォートワースは11/17,18にアメリカ・テキサス州のテキサス・モータースピードウェイで開催される。

フォートワースで最後に開催されたのは2015年、優勝はポール・ボノム、2位はホール選手。ソンカ選手が4位と活躍した一方でグーリアン選手は、予選・決勝共に12位/9位と結果を出せていない。室屋選手にとっては2度目の表彰台(3位)を獲得したレースである。

最終戦も昨年同様、予選からファイナル4までタイトル争いのドラマが繰り広げられそうだ。

(川崎BASE・photo:Mihai Stetcu/Balazs Gardi/Predrag Vuckovic Red Bull Content Pool)