【週刊クルマのミライ】完全自動運転こそ究極の安全装備。ボルボとエヌビディアが自動車用AIコンピュータの共同開発を宣言

プレミアムブランドであり、また安全をブランディングの最重要ファクターとしているボルボが、AI(人工知能)コンピューティングカンパニーのトップランナーであるエヌビディアと共同で、自動車用AIコンピュータの共同開発を始めたという発表がありました。

そのコアとなるのがエヌビディアのDRIVE AGX Xavierテクノロジー。この先進的でパワフルなAIコンピュータにより期待されているのはエネルギー管理システムや車内エンターテインメントの充実もありますが、やはりメインターゲットとなるのは自動運転。エヌビディアと共同で開発するAIコンピュータと360度空間検知システム、そしてドライバー監視機能を組み合わせることで、完全なる自動運転が可能な自律走行マシンを生み出すことを目指しています。

ボルボカーズの社長兼最高経営責任者(CEO)である ホーカン・サムエルソン氏は「自律的な運転を成功させるには、膨大な計算能力と人工知能の絶え間ない進歩が必要です。 エヌビディアとのパートナーシップはパズルの重要な部分であり、私たちが顧客に完全に自律的なボルボ車を安全に導入するのに役立ちます」と述べています。つまり、AIによる自動運転は、ボルボの目指す究極の安全につながるというわけです。

チェスや将棋といった世界では、すでにAIの能力が人間を超えてしまっています。クルマの運転というのは相手が一人ではありませんから状況判断が複雑になるのは事実ですが、それでも、現状はまだまだ完全な自動運転は難しいとしても、将来的に人間よりも安全で確実な運転ができる機械が生まれることは容易に予想できます。

そのためにはセンシングを濃密にして、その情報を素早く演算できる能力が必要となります。そして、温度や振動の面で不利な車載という条件で、その能力を得るには時間がかかるという見方もあります。しかし、ボルボとエヌビディアの共同プロジェクトは、そうした未来予想を早めることになるかもしれません。なにしろ、ボルボではエヌビディアと共同開発するAIコアコンピュータを搭載したモデルを10年内にリリースしたいとアナウンスしているほどなのです。

(山本晋也)

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
続きを見る
閉じる