日産がパイオニアにライセンス供与したという高速道路の「逆走報知ナビゲーション技術」とは?

高速道路での逆走は大きな事故につながりかねないだけに、ドライバーには注意が求められます。一方で、高速道路のサービスエリアや料金所などでは、一部で分かりにくい案内や導線になっている例もあるように思えます。しかし、逆走は許されないミスだけに、まずは注意深い運転が不可欠で、その上でナビなどのサポートがあればより安心できるはず。

2018年10月10日に、日産が世界で初めて開発したという、逆走報知ナビゲーション技術のライセンスをパイオニアに供与したと発表しました。

逆走検知機能は、パナソニック(ストラーダやポータブルナビのゴリラ)やケンウッドなどが採用していて、市販ナビに加えて、これらのメーカーが用意する純正ナビ(アクセサリーを含む)にもすでに採用されています。

日産では、今回の逆走報知技術の供与により、パイオニア製のカーナビを利用するユーザーも同技術が使えるようになるとしています。

先述したように、2018年10月時点では珍しくなくなった高速道路での逆走検知機能ですが、日産ではドライバーに対して音声と画像にて注意喚起を行うナビとして開発。日産の発表は2010年10月で、当時世界初の機能としてアナウンスされています。

今回ライセンス供与された逆走報知ナビゲーション技術は、2010年11月に発売されたフーガ ハイブリッド以降、ほかの車種にも順次採用されていて、現在ではすべての日産純正カーナビ、ディーラー装着の日産オリジナルナビに採用されているそうです。

今回ライセンス供与を受けたパイオニアでは、2018年秋にパイオニアが発売を予定している法人向けカーナビを皮切りに、今後同社が展開するカーナビに広く展開する予定としています。

どんな技術が供与されたのか気になります。逆走報知ナビゲーション技術の概要は、カーナビ内部のプログラムにより、車両情報(GPS位置、地図、車速など)に基づいた逆走判定処理を行って、ドライバーに報知するものです。

基本的な処理として、車両前方地図の分岐・合流に逆走判定エリアをリアルタイム生成し、その判定エリアを一度通過した後、再度エリアに進入することにより逆走を判断し、注意喚起のための報知を起動。

サービスエリアやインターチェンジ、ジャンクション付近の分岐・合流点を逆走すると、音声および画像で注意喚起をされるものです。これは、道路会社の保有する道路構造に関する知見と、自動車メーカーの保有するGPSナビゲーションに関する知見を合わせ、新たな逆走判定ロジックを開発し、市販のカーナビにも実装可能な技術として実現したとしています。

さらに、プログラム処理の追加のみで実現可能なのも特徴で、既存の地図データベース部分には変更を加えていないそう。これにより、ナビの地図更新機能により新しい高速道路の情報が追加されても、追加の道路に対してすぐに同様の検知・報知が可能になる利点があります。

なお、ストラーダの場合は、別売のETC2.0車載器との組み合わせで逆走検知機能が享受できます。カーナビ選びの判断基準のひとつとして、逆走検知機能や標識表示案内などを加えたいところです。

(塚田勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
続きを見る
閉じる