『東京モーターショー2018』が開催されない代わりに行われたのが『東京モーターフェス2018』。10月6日~8日の3日間台場で開催されたモーターフェス2018は、直前に発表されたトヨタとソフトバンクの協業発表の流れで実現した豊田章男社長や孫正義会長のトークショーなど行われこともあり、好意的な報道が目立った。しかし実状と言えば、閑散としたイベントで、水増しの入場者数(通行人や他のイベントの集客もカウント)を狙った会場レイアウトを含め微妙。
ちなみに『モーターフェス』というイベントは2012年~2014年に日本自動車工業界(以下、自工会と略)の会長だった豊田章男社長が「東京モーターショーを盛り上げるイベントなどどうか?」と提案し、2013年秋に始まっている。第一回は公道をクローズし、古屋国家公安員の先導で元気いっぱいに(ほぼ全開?)クルマを走らせるなど、なかなか派手で話題を集めた。
翌年から「東京モーターショーは2年に1度の開催ということで1年毎に何のイベントも無い年がある。裏の年に楽しいイベントを開きましょう!」となり東京モーターショー代わりのイベントとして定着した。実際、2014年のモーターフェスは2013年より規模も拡大! 開幕前夜に行われたプレスプレビューでは自工会に属す13社の代表が自分の会社の車両に乗って登場したほど。
以後、2016年に開催されたが、入場者数は思ったより伸びない。というのも豊田章男社長が2015年から自工会会長じゃなくなったこともあり、急激にパワーダウン。惰性のようなイベントになっていたからだ。春に同じ台場で開催される『モータースポーツジャパン』の大賑わいと対照的。多額の予算を投入している割に、会場ガラガラという状況はけっこう寂しい。
本来なら次の年に開催される東京モーターショーを期待させる新しい企画など取り入れるなど(今回なら2020年に実用化を目指す自動運転車の体験ミニ試乗会なんかやったら面白かったと思う)、切り口はたくさんあるハズ。少なくともメガWebのライドワンなら事故の心配も無い。けれどそういった工夫や努力全く無し。後述の通りテーマからして「バブル」。ウケれば良いのか?
モーターフェス2018は豊田章男社長が自工会会長に戻ったため再度テコ入れを計った、という。けれど開幕してみたら、文頭に書いた自工会会長や孫正義会長、マツコ・デラックスさんのトークショーやデモランだけ大いに盛り上がったものの、広大な会場はガラガラ。モータースポーツジャパンでビッシリ人が入る展示スペースも写真のような閑古鳥状態。
ちなみに会場は台場の人気観光スポットであるダイバーシティ(ガンダム像で世界的人気)からアウトレットのあるヴィーナスフォートの通路や、同じ日程の『オクトーバーフェスト』(ドイツビール祭り)に行く人なども通る場所。通りすがりの人も展示されているクルマを見ながらのため、イベント広場は空いてるのに入場者数だけ多いという水増し勘定です。
なぜ人気ないか? 見ていると「お祭りの縁日の楽しさ」を感じない。同じ台場で開催されるモータースポーツジャパンは、雑誌のブースやチューニングショップのブースなど多数出ているため、それぞれ集客努力をする。業界の著名人や、有名ドライバーも多数集まり、そういった人達が人を呼ぶ。モータースポーツジャパンに行くと、顔見知り多数。業界のパーティみたい。
方やモーターフェスは、会場全てを歩いて数人しか業界人と会わなかった。メディアも「関係ない」とばかり、真剣な告知だって行っていない。最終日に一番盛り上がったのは自動車と全く関係無い登美丘高校OGの「バブリーダンス」でした。いろんな意味で大いに失望した次第。主催者である自工会は、クルマ好きを楽しませようと考えていないんだと思う。
相当の予算があるため「何かイベントやればいい」と考えているのだろう。これじゃ2019年のモーターショーも盛り上がらないと考える。ホンキでモーターフェスを楽しいイベントにしたいのなら、モータースポーツジャパンに予算を付け共同開催にすればいいと思う。現在の軽く2~3倍の観客を集められる素晴らしいイベントになるんじゃなかろうか。
(国沢 光宏)