タイヤの「再生」は熟練工による手作業が支える。ミシュランタイヤのリトレッドタイヤの生産工程を見学

ミシュランタイヤでは、新潟県糸魚川市にある高瀬商会にリトレッドタイヤの生産を委託しています。高瀬商会は、1931年に通産省指定のタイヤ更正工場になるなど、長年リトレッドタイヤの生産を手がけ、「X One」以外のリトレッドでもミシュラングループ本社の品質基準承認を得ている老舗。

リトレッドタイヤの生産工程は、まず摩耗したタイヤが洗浄されます。リトレッドされる古いタイヤをブラシと自動洗浄機で水洗いした後、乾燥。

続いて「釘穴検査機」で貫通の有無を確認。さらに「シアログラフィ」検査機を使い、超音波ウルトラソニックで部材間の剥離を探し、目視検査で目視と触診で傷や変形がチェックされます。この時点で、リトレッドタイヤに適さない古タイヤは除かれることになります。

傷などの検査をクリアすると、バフ掛けが行われます。さらに、トレッドをサイズとパターンに応じた設定値に削り、「スカイピング&修理」工程で傷口をきれいに削った後に修理を受けます。

その後「セメティング」という工程で、削ったゴムの表面が酸化しないように加硫用のセメントをペイント。さらに、溶けた合成ゴムで削った部分が埋められる「フィリング」を経てトレッドを貼り付ける「ケーシング」に進むことになります。

「ケーシング」では、台上で伸ばされたトレッドに液剤を塗り、ビニールを巻き直して準備が整うと、「ビルディング」でケーシング(カーカス)にサイズとパターンに応じたトレッドが貼り付けられます。

そして、タイヤを「エンベロープ」と呼ばれるカバーに包んで加硫機に投入して低温で長時間「加硫」。加硫により分子レベルで結合させることで信頼性が担保されることになります。その後「高圧検査」を経て、リトレッドの耐久性が確認され、目視の「最終検査」を経た後、温かいうちに専用塗料が塗られます。

タイヤ(再生)工場と聞くと高度に機械化されている印象がありましたが、予想よりも多くの熟練工による手作業がありました。また、安全がかかっているタイヤだけに、慎重を期して再生されているのが印象的でした。

(文/塚田勝弘 写真/ミシュランタイヤ、塚田勝弘)

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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