【SUPER GT2018 第6戦・SUGO】今年も魔物が現われる。SC明け7周の超スプリントレースは手に汗握る大興奮

9月16日にスポーツランドSUGOで決勝レースが開催されたSUPER GT第6戦「2018 AUTOBACS SUPER GT Round 6 SUGO GT 300km RACE」。魔物が棲むというスポーツランドSUGO、今回も魔物は全開で大活躍(?)となりました。

ポールポジションはただ一台1分17秒台を叩き出した61号車SUBARU BRZ R&D SPORT。

2番手に25号車HOPPY 86 MC、3番手には9号車GULF NAC PORSCHE 911と続きます。

4番手はノーシードの5号車マッハ車検 MC86 Y’s distraction、5番手は10号車GAINER TANAX triple a GT-Rとなります。マッハ車検 MC86 Y’s distractionはこれまでノーポイントでウェイトも無し。しかしそれ以上にルーキー平木湧也選手の攻めた走りがこのポジションまで登りつめてきた要因といえるでしょう。

ポールポジションを得たSUBARU、そのトップタイムをマークした山内 英輝選手はグリッドでは和やかな表情を見せていますが、時折厳しい表情になることもあり、ポールポジションからのスタートに他ならぬプレッシャーを感じていたのかもしれません。

午後2時頃、宮城県警の白バイやパトカー先導のパレードラップからフォーメーションラップを経て切られたスタート。ポールのSUBARU BRZ R&D SPORTは絶妙なスタートで一気に飛び出していきます。スタート周の第3コーナーに差し掛かる頃にはすでに2位と1秒以上の差が開くということに。

実は2番手だったHOPPY 86 MCはスタートからまったくペースが上がらず、スタート周でGULF NAC PORSCHE 911に抜かれ、2周目にはGAINER TANAX triple a GT-Rに抜かれるなど、徐々にポジションを落としていきます。

序盤で一気にポジションを上げてきたのがGAINER TANAX triple a GT-Rで、3周目に2位に浮上。SUBARUの背後に迫っていきます。

一人のドライバーが最低限走らなくてはならない22周目を過ぎた頃にはタイヤ交換とドライバー交代でピットインするマシンが続々と現れます。22周目に真っ先に入ったのは0号車グッドスマイル 初音ミク AMG。続いてマッハ車検 MC86 Y’s distractionがピットイン。

31周目には34号車Modulo KENWOOD NSX GT3が入るなど、周回数の半分に満たないところでほとんどのチームがタイヤ交換を行います。ヨコハマ勢のタイヤ無交換のイメージが強いSUGOですが、今回は意外と路面温度が高く、予選で使ったタイヤをスタートタイヤに使うというルールのSUPER GTではタイヤのライフが短かったようです。

42周目にタイヤ無交換でピットアウトしたHOPPY 86 MCを最後に全車が義務ピットインを終えてもSUBARUのトップはゆるぎなく、2位に10秒以上のアドヴァンテージをもって独走態勢を築きます。このまま独走態勢を維持してPOLE to WINか?と思わせていた終盤、ここで魔物が顔を出してきたのです。

31号車TOYOTA PRIUS apr GTに、10番手争いをしていた96号車K-tunes RC F GT3が接触! 31号車TOYOTA PRIUS apr GTは接触の勢いでウォールにクラッシュしてしまいます。このためにセーフティカー(SC)導入となってしまいました。

SUPER GTのSCは各クラスを順位どおりに並べてからの再スタートとなるため、それまで築いてきたタイム差は帳消しになってしまいます。ここで一番損をしてしまうのが2位に15秒以上差をつけていたSUBARU。

GT300の70周目に切られた再スタート。ここで2位のGAINER TANAX triple a GT-Rは一気に勝負を仕掛けようとしますが、トップのSUBARUの勢いはそれに勝り、スタート直後から大きく差が開きます。

このSCで大波乱が起こったのが3位争い。SC前には順調に3位を走行していたグッドスマイル 初音ミク AMGですが、SC直後から88号車マネパ ランボルギーニ GT3がまとわりつきファイナルラップで横に並んできます。そしてSC直後には7位のポジションだったModulo KENWOOD NSX GT3が2台を抜き去り5位に浮上。ファイナルラップの最終コーナーを立ち上がるとマネパ ランボルギーニGT3の背後でスリップストリームにつき、ダンロップブリッジから一気に前に出てきます。

チェッカーフラッグの待つコントロールラインに3ワイドでなだれ込む3台! 勢いのあったModulo KENWOOD NSX GT3はマネパ ランボルギーニGT3を0.008秒で交わし4位でフィニッシュ。グッドスマイル 初音ミク AMGはModulo KENWOOD NSX GT3に0.057秒の差でギリギリセーフの3位表彰台を獲得します。コントロールラインがあと5m先にあったら順位は変わっていたかもしれないというギリギリの領域。3ワイドフィニッシュならではの興奮です。

そんなギリギリの攻防を尻目に2位に4秒以上の差をつけて快勝したSUBARU BRZ R&D SPORT。

POLE to WINによる完全勝利を手に入れたSUBARU BRZ R&D SPORT。第3戦鈴鹿以来のポイント獲得、2016年第6戦鈴鹿1000km以来の今期初優勝となりました。

次戦は10月20、21日、アップダウンの激しい大分県オートポリスでの第7戦。ウェイトが半分となり各車のハンデも軽減されるためよりいっそうの激しいバトルが予想されます。自力でのチャンピオン圏内が10台以上もいる中での第7戦はどんなドラマを見せてくれるのでしょうか。

(写真:吉見幸夫 文:松永和浩)

この記事の著者

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松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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