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駆動系、シャシ、およびアクティブ&パッシブ・セーフティ・テクノロジー分野における自動車関連部品のグローバル・サプライヤーであるゼット・エフ・フリードリヒスハーフェンAG (以下、ZF)は、6月の最終週に本社のあるドイツ・フリードリヒスハーフェン市で「ZFテクノロジーディ」と呼ぶイベントを開催しました。
「次世代のモビリティ」をテーマに行われたこの展示・試乗会には、欧州をはじめ南北アメリカ、中国、インドおよび日本から100社を超えるマスコミが訪れました。イベントでは、最先端技術を搭載したプロトタイプ車両のワールドプレミア(世界初公開)を含め、幅広い製品ラインナップが紹介されました。
4つの主要活動分野
自動運転と電動化を中心に、目まぐるしい進化の途中にある自動車業界。そこで重要なのは、適切な事業戦略とスピードと言えるでしょう。ZFで商用車部門を統括するロバート・シュテッドラー氏によれば、「ZFは将来のモビリティにおける、あらゆる潜在的要件に対応する完全な統合ソリューションを提供する『システムプロバイダー』になることに焦点を絞っています」。
世界の「メガサプライヤー」の一社であるZFは、ステアリング、ブレーキ、トランスミッション、ショックアブソーバなど、メカニカルな分野の多岐にわたる製品ラインナップで業界では確固たる地位を築いています。今後は運転をより安全で快適なものにするべく、自動運転、電動ドライブ、統合安全システム、車両モーションコントロールという4つの分野に焦点をあてるとともに、モノのインターネット(IoT)クラウドによって、幅広いシステムのネットワーク化を目指していきます。
総合的な業務の効率化を提案
今回ワールドプレミアとなった「ZFイノベーション・トラック2018」は、レーダー、ライダー、カメラといったセンサー類、「ZF ProAI」車載コンピュータおよび電動アシスト付き油圧パワーステアリング「ReAX」や「TraXon」ハイブリッドトランスミッションにより、会社や工場の敷地内などにおけるゼロエミッションでの自律走行が可能です。さらに、「OPENMATICS」車載テレマティックスが敷地内のLTE/WLANを経由して、幅広い業務の効率化を可能にします。例えば運行管理システムにアクセスすれば、自車位置や他の車両の走行経路を基に荷下ろし場所などの目的地までの最適なルートをリアルタイムで計算する事が出来ます。イノベーション・トラックは、運んできたコンテナの切り離しや別のコンテナの連結作業も自ら行うため、その間、ドライバーは休憩を取ったり、その他の業務を行ったりする事が可能になります。
このほか、「レベル4」の自動運転が可能な宅配便配達用車両「イノベーション・バン」、都市部向けの15人乗り電動自律走行ミニバス「e.GO Mover」、ペダルやステアリングホイールが不要で左右どちらの座席からでも運転操作ができる「トレンドセッティング・コックピット」なども公開。同社のセンサー、AI、アクチュエーターとテレマティックス技術を統合した、業務効率と安全性向上のための幅広い「システムソリューション」の提案を行っていました。
乗用車から大型トラックまで
今回は、秋にハノーバーで開催される商用車モーターショーに向けたイベントということで、主に商用車向けの製品・技術が紹介されました。そうしたソリューションは、もちろん物流業界に大きな価値をもたらすものですが、同時に、トラックや宅配便などのドライバーの業務負荷軽減による渋滞や交通事故の減少、輸送コストの低減、迅速な配達など、様々な面で消費者にもメリットをもたらすものと考えられます。ZFは、自動運転、電動化、統合安全、および車両のモーションコントロールという4つの分野とIoTで、一般乗用車から大型商用車まで、将来のモビリティ全般の安全性向上と効率化に貢献する統合システムソリューションの提案を自動車メーカーに向けて行っていきます。
(Toru ISHIKAWA)