●今年の車は壊れないだろうと思いました(中嶋)
中嶋選手というと、二年前に起きた「魔の3分間」のことが思い出さずにはいられません。最後のスティントでハンドルを握った中嶋選手は「二年前と違うのは車がトラブルでダメになることはないだろうな、と何となく、頭ではなく体で理解していました。だから自分がミスをしてレースを台無しにしないように気を付けました。失敗しないようにと気負いすぎて、リズムに乗れないところはありましたけれど」と、今年の車は壊れないという確信があったそうです。
優勝後、一夜明けて優勝した実感はあったのでしょうか。「正直なところ、あまり変わっていなくて、いまだにホッとした気持ちの方が強いです。おかげ様でたくさんの人からメッセージを頂いて、それを返信するだけでいっぱいいっぱいの日々です。父(中嶋悟さん)から『おめでとう。チームのみんなによろしくと言っておいて』とのメッセージが届いたので『よろしくとお伝えしました』と伝えた程度で、それ位しか話をしていません(笑)。決して仲が悪いわけではないですよ。今週末のタイで会った時に話はすると思います」と普段と変わらない様子でした。
●レース中、タイム差を教えてくれないんです(小林)
さて、気になるのは今年優勝できた理由。去年とはいったい何が違ったのでしょう。
「去年から何が違うのかというと、縁石に乗ると僕らすごく怒られます。練習中から縁石に乗らない練習をしました。あと8号車とのタイム差やどこにいるのかを走行中に一回も教えてくれませんでした。最後に一貴と一緒にチェッカーを合わせる時だけに教えてくれただけでした。だからレースは自分との闘いでした」(小林選手)。
「最後までプッシュできる車を作ってくれたこと、何が起きてもしっかり対応できるように準備してきたことが大きな違いだと思います。最後まで集中力を切らさずに走ることができました」(中嶋選手)
と、マシンそのものの安定性もさることながら、ドライバーに対するマネジメントも勝利の秘訣であることを披露しました。
●来年のル・マンも勝ちたいと思います(中嶋)
「一回ル・マンを勝ってそれで終わりではなく、シーズンを通してチャンピオンを獲得することが目標です。そこはチームメイト同士でもガチンコで戦って、来年のル・マンも勝ちたいと思います」(中嶋選手)
「僕はいつもと同じように、勝つことを目標に頑張りたいと思います。まずは自分たちに合う車を作って、長いシーズンを1つでも多く勝ちたいと思います」(小林選手)
と、今後の抱負を述べて、会見は終わりました。
FIA世界耐久選手権の次戦は、8月19日にイギリスのシルバーストーンサーキットで6時間レースが行われます。そして日本には10月14日に富士スピードウェイで第4戦の開催が決定しています。トヨタTS050ハイブリッドの活躍に期待しましょう。