ファミリーカーでもハイオク指定!? 多くの輸入車が指定燃料がハイオクになる日本のレギュラー・ガソリン・オクタン価の謎【ココがおかしい日本のクルマ&交通事情】

でも考えてみれば、なにも輸入車のエンジンが日本のレギュラーガソリンに対応しなくても、日本のレギュラーガソリンのオクタン価をちょっと上げてやれば、それでいいのです。今も実際世の中に流通しているレギュラーガソリンの多くは89よりも高いオクタン価を有しているといいます。ですので、日本のレギュラーガソリンのオクタン価を規定を高めにして、流通するレギュラーガソリンのオクタン価が高めで統一されるようにすれば問題は解決してしまいます。

さらにいえば、もう少し高めのオクタン価にしてしまって、プレミアムを廃止するという考え方もあると思います。100ではなく、96~98程度のオクタン価に統一してしまうという考え方です。ガソリンが1種になれば、スタンドの設備が簡素化でき、輸送するローリーも単純化できます。今、ガソリンスタンドの地下タンクの使用期限が訪れて、その更新ができずに廃業を選ぶスタンドが数多くあります。タンクの数を減らせれば、設備投資の額も大幅に減らせます。

ただ、クルマの燃費が向上、EVの増加などでガソリンの消費量が減るなか、1リットルあたり10~12円も高いプレミアムガソリンは、石油元売りにとっても、ガソリンスタンドにとっても収益のための重要な商品であることも間違いないでしょう。聞くところによると、レギュラーとプレミアムの原価の差は1リットルあたり1円にも満たないといいます。こうした状況で収益の高いプレミアムガソリンを止めるのは辛いとは思います。しかしながら、どこかで身を切らないと自動車社会、自動車産業自体はさらに縮小してしまうでしょう。

100オクタンのプレミアムガソリンは、添加剤などで対応できるようになれば、超ハイパワー車も存続できます。添加剤式なら100以上のオクタン価を得ることもできるでしょうから、さらなるパワーアップも可能かも知れません(オクタン価が高ければパワーが出るガソリンとは限りません、オクタン価は燃料の着火しづらさを表す数値です)。

(文・諸星陽一)

この記事の著者

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諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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