トヨタがミライの技術を使ったFCトラックを開発。セブン-イレブンとの共同プロジェクト開始

燃料電池は水しか排出しないゼロエミッションでありながら、トラックの走行と冷蔵・冷凍機能を動かすのに十分なエネルギーを生み出せるのがメリット。もちろん、水素充填は、電気を充電するのに比べて短時間で済みますから、運用面でのメリットもあるわけです。

まずは、ほぼ手作りといえるFCトラック2台を用いてプロジェクトをスタート。ゆくゆくは店舗にも据え置き型の燃料電池を置くことで、水素を無駄なく利用してCO2排出量を削減しようという計画になっています。

なお、今回制作されたFCトラックの燃料電池や水素タンクといったパーツは、トヨタの量産FCVである「MIRAI」から流用しています。それでも十分に荷物を積んだ状態でのトラックを動かすだけのパフォーマンスを実現できるというのは電気モーターの特性ゆえでしょう。

また、配送を前提としているため最高速度は80km/h程度、航続可能距離は約200kmとなっています。水素貯蔵量は約7kg、MIRAIが積んでいる2本のタンクのうち大きい方を3本流用しています。ちなみにMIRAIの水素貯蔵量は約4.6kgです。

もっと最高速を上げたり、航続可能距離を伸ばしたりすることもできるでしょうが、今回のスペックは配送業務に最適化したものとなっています。そして、この共同プロジェクトによりFCをビジネスカーとして使ったときの課題を抽出することも期待されています。

さらに、配送業務にFCトラックが普及することで毎日多くの水素を使うことも予想されます。そうした消費が、水素インフラを整備する際の採算性を上げ、水素社会の実現を後押しする要素があることも見逃せません。

(山本晋也)

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
続きを見る
閉じる