本部からの呼び出し計3回。でも、やったゼレース完走! OPT300ZX耐久レース挑戦記・その10【OPTION 1985年7月号より】

トップを独走中のヰセキポルシェは、すでに200周を終え、ラストスパートに入っている。この分だと、はたして我がOPT300ZXは完走できるだろうか。完走扱いとなるためには、227周の70%つまり159周は走っていないとダメなのだ。必死に計算する。ポルシェが27周する間に、OPT300ZXは何周走れるのか、いや走らねばならないのか。計算ではラスト1、2周が勝負と出た。

小宮も持てるテクのありったけを尽くして2分を切り、速い時は1分55秒台でラップを重ねる。だが、157周め、完全にブレーキが死に、やむをえずピットロードに入ったOPT300ZXは、なんとコントロールタワー真ん前のシケインでスピン! 完全にノーブレーキの状態となったためあえてスピンさせたのだが、場所が場所だけに再度、本部から呼び出しがかかる。これで3度目だ。とにかく時間がない。

ヰセキポルシェは残すところ、あと4周でチェッカーフラッグだからだ。OPT・Zは規定周回数に2周足りないハズ! とにかく走るっきゃない! あぁ、神様、仏様。小宮はノーブレーキ状態の300ZXを「2速3000rpm(115.5km/h)ならどんなコーナーでも回り切れる」と悲愴な覚悟でコースイン。ラップは2分43秒33だが、そんなことは問題じゃない。とにかく完走するんだ! 頑張れOPT300ZX! あと1周、もう1周・・・。頑張れ小宮!

227周、5時間48分49秒70でヰセキポルシェがチェッカーフラッグを受けた。OPT300ZXは161ラップをクリア。やった! 完走だ!!

そのころ、Daiは本部席にいた。「いくらしぶとくても、これでオシマイだな。キミだってもう下げる頭がないんじゃないか」「ハイ、スミマセン」「アレッ、56番、まだ走ってる〜ッ」……そしてドラマは終わった。

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いや〜手に汗握るドタバタレースとは、まさにこのこと! とにかく完走、おめでとうございます!!! このOPT300ZX耐久レース挑戦は、第2戦とかまだ続きがあるんですけど、それはまた後程、ということで皆様、応援ありがとうございました! あぁ〜完走は気持ちイイ〜!

[OPTION 1985年7月号より]

(Play Back The OPTION by 永光やすの)

この記事の著者

永光やすの 近影

永光やすの

「ジェミニZZ/Rに乗る女」としてOPTION誌取材を受けたのをきっかけに、1987年より10年ほど編集部に在籍、Dai稲田の世話役となる。1992年式BNR32 GT-Rを購入後、「OPT女帝やすのGT-R日記」と題しステップアップ~ゴマメも含めレポート。
Rのローン終了後、フリーライターに転向。AMKREAD DRAGオフィシャルレポートや、頭文字D・湾岸MidNight・ナニワトモアレ等、講談社系車漫画のガイドブックを執筆。clicccarでは1981年から続くOPTION誌バックナンバーを紹介する「PlayBack the OPTION」、清水和夫・大井貴之・井出有治さんのアシスト等を担当。
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