マクラーレン・セナの新車価格67万5000ポンド(約1億円)は日本が世界一安いワケは?

フロントフェンダーを1枚あたりわずか660gに抑えるなど、徹底的に軽量化を施して車両重量は”たった”の1198kg。最高出力は800馬力。0-100km/h加速は2.8秒、0-300km/h加速は17.5秒。こうしてスペックを並べるだけでその驚異的な性能が伝わってくるマクラーレンの最新モデル「セナ」。

「セナ」という名称はもちろん日本でもファンが多かった名ドライバーのアイルトン・セナに由来しているわけですが、マクラーレンによると「妥協を拒む彼の生き方と、究極のサーキットカーを作る姿勢」という共通項があってとのこと。

マクラーレンの市販モデルには「Sport」「Super」「Ultimate」という3つのシリーズがあり、このセナは最上級の「Ultimate」に属するモデル。マクラーレンにおける過去最高性能のモデルで、「公道でも走れる、マクラーレンの究極のサーキット仕様」という位置付けとのこと。限定500台のみが販売されます。

製造は今年の第3四半期からスタート。イギリスのサリー州にあるマクラーレンのプロダクションセンターにおいて手作業で組み立てられ、製造には1台あたり300時間を必要とするのだとか。

気になる価格は、日本向けの税込み価格で67万5000ポンド。ポルシェのカレラGTなどと同じく日本円での定価が定められておらず、購入タイミングにおける為替相場で支払金額が決まるという仕掛けです。現在のところ日本円に換算すると1億円強ですが、今後円相場の推移により、支払金額は大きく変わる可能性も(カレラGTは購入タイミングにより千万単位で支払う日本円が変わった)。

実は日本仕様の価格は世界的に見てもかなり割安(本国イギリスでは消費税込75万ポンドで現在の為替レートだと約1億2000万円)だそうです。これは日本は自動車の輸入に対して関税がかからないことや、消費税率が8%(2018年5月現在)と諸外国に比べると低いことが関係しているのでしょう。

しかし、実車のデビュー以降に購入を検討し始めた人には残念なニュースなのが、今年3月のジュネーブにおける世界公開と同時にこのクルマの「完売」が公表されたこと。つまりはもうオーダーできないのです。太い顧客に声をかけて正式公開前にオーダーを受けてすべて売り切るという、プレミアムカーの販売手法がとられたというわけですね。

(工藤貴宏)

この記事の著者

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工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに執筆している。現在の愛車はルノー・ルーテシアR.S.トロフィーとディーゼルエンジンのマツダCX-5。
AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。
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