ブリヂストンがゴムと樹脂を分子レベルで合成した新世代の材料を発明

今回、発表された『ゴムのしなやかさと樹脂の強靭さを兼ね備えた次世代材料』も、改良したGd触によって生み出されたもので、名前はHSR(ハイストレンジスラバー)と名付けられました。そのポイントは、ゴムと樹脂を合成したことにあります。

合成したといっても、単に混ぜただけではありません。それでは天然ゴム比で、耐亀裂性5倍以上、耐摩耗性2.5倍以上、引張強度1.5倍以上という画期的なゴムは生まれません。

HSRは改良型Gd触媒によってブタジエンやイソプレンといった合成ゴム成分と、エチレンなどの樹脂成分を分子レベルで結びつけることに成功しました。そして、世界初であり、唯一といえるHSRを生み出したのです。だからこそゴムの柔軟性と樹脂の高強度を両立する新素材を実現できたのです。

現段階では、量産性については検討レベルということですが、天然ゴムを凌駕する強度と耐摩耗性も有していることを考えれば、タイヤの性能を根本から変えてしまうことも期待される、まさに夢の素材の誕生です。

そして、夢の合成ゴム「HSR」の活用については、ブリヂストン一社で考えるのではなく、オープンイノベーションによって理想的な利用法を探っていきたいといいます。それが、ブリヂストンが目指す持続可能な社会の実現につながるというわけです。

(山本晋也)

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山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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