【スバル・XV 1.6i-L試乗】特徴を3点に絞って紹介。注目は、頑強ボディ・スムーズエンジン・驚異の最低地上高

まず、1つ目の「高剛性ボディ」についてお話しします。

XVのベースとなっているのは新型プラットフォームSGP(スバルグローバルプラットフォーム)です。これは従来モデルに比べて静的ねじり剛性で70%のポテンシャルアップを果たしています。

これによってボディ剛性が高まったことはもちろん、副次的な効果としてハードめチューニングのサスペンションをセットしても足がよく動くということがあります。このため乗り心地はしなやかに仕上げられるのです。

実際に試乗してみても先代モデルよりもロール時の安定性などは増しているにもかかわらず、乗り心地はかつてのフランス車のような柔らかな感触が(先代XV同様に)残っているのが分かります。

2つ目は「エンジン」です。

XVには搭載されるのは、水平対向4気筒NAの2タイプ。直噴2Lエンジンと、今回テストした1.6Lのポート噴射ものです。スペックで見ると2Lが154ps、1.6Lが115psで、両者には約40psもの大差があります。

このため1.6Lエンジンではパワー不足に悩まされるのではないかと思いましたが、実際にはそんなことはありませんでした。確かに速度0km/hからの発進の際に大きくアクセルを踏んだ時などは、出足の緩慢さを感じることはあります。

しかしながら、一般的な走行シーンで他の車両と同じように走っている場合、そこまでアクセルを奥まで踏み込むことはありません。このため1.6Lエンジンでも一般的な走行では問題はないと思います。

走り出した後は高速道路・100km/hまでの領域では、どの回転でも素直にパワーとトルクがついてきます。また60km/h巡航時のエンジン回転数は1200rpmほどと非常に低く、小排気量だから高回転まで回っていつも車内がうるさいということはありません。

この痛痒ない動力性能と静かな室内には、スバル自慢のチェーンドライブ式CVT・エクストロニックも大きく効いていると思います。

そして3つ目は、XVならではの「ボディのディメンション」です。

XVはインプレッサをベースにボディ各部にプロテクターパーツを装着し、最低地上高を上げたモデルです。

こうして通常のハッチバック車をベースに車高を上げてクロスオーバーテイストを盛り込むというのは近年では流行していて、多くの車種が存在します。ただしXVの興味深いところはこの最低地上高アップが飾りではなく「本気」だということです。

「本気」だと記者が思う根拠として、そもそもXVにはFFが設定されていません。全車AWDで走破性能を重視しています。

そして重要な点は、この最低地上高が200mmもあることです。インプレッサに対して70mmアップしています。ちなみにこの200mmという数値は、スズキが世界に誇る本格オフローダーのジムニーと同じだといえばその凄さが分かっていただけるでしょうか。

この記事の著者

ウナ丼 近影

ウナ丼

動画取材&編集、ライターをしています。車歴はシティ・ターボIIに始まり初代パンダ、ビートやキャトルに2CVなど。全部すげえ中古で大変な目に遭いました。現在はBMWの1シリーズ(F20)。
知人からは無難と言われますが当人は「乗って楽しいのに壊れないなんて!」と感嘆の日々。『STRUT/エンスーCARガイド』という名前の書籍出版社代表もしています。最近の刊行はサンバーやジムニー、S660関連など。
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