【週刊クルマのミライ】まもなく納税時期、誰がオートバイの軽自動車税を上げたのか?

今年も自動車税の納税通知書が届くタイミングになってきました。排気量の大きな乗用車のオーナーにとっては憂うつと感じるかもしれませんが、それ以上に二輪オーナーはうんざりと感じているかもしれません。

というのも、平成28年度に軽自動車税が増税になっているから。四輪の軽自動車については増税前にナンバーをつけたクルマは旧税率が適用されますが、二輪においては古かろうが新しかろうが一律増税となったからです。

そうそう、意外なことかもしれませんが、二輪車(オートバイ)というのが排気量50cc以下の原付きからリッターバイクと呼ばれる大型モデルまで、軽自動車税の対象なのです。つまり、いずれも4月1日での所有者に税金がかかる仕組みです。

そして、平成28年度の増税では原付が従来の年間1000円から倍増の2000円へと増税されたのですから、穏やかな話ではありません。金額的には小さめですが、軽乗用車が7200円から10800円に増税となったのに比べると比率的には納得できないというオーナーも少なくないでしょう。

そもそも、軽自動車の増税については、それを後押ししたメディアや世論も少なくありませんでした。おそらく「200万円近い価格で、室内も広い軽自動車が登録車よりもずっと安い自動車税なのはズルい」という感情もあったでしょうし、「売れに売れている軽乗用車から増税するのは妥当だ」という見方もあったでしょう。

しかし結果として、軽自動車税を増税したからといって登録車の減税が実施されることはありませんでした。それどころか、軽自動車税の増税を認める世論は、二輪も含む軽自動車税を倍増させることを認めてしまうカタチになりました。

そもそも、自動車税は都道府県税、軽自動車税は市町村税ということを考えると、軽自動車税増税のバーターで自動車税を軽減するというストーリーに無理があったのですが、軽自動車=軽四輪というイメージが強かったのか、二輪に対する大型増税は大きな議論にならないまま、実施されてしまったような印象さえあります。

さらに旧税率が適用される軽自動車でも、最初の新規検査から13年を超えたクルマについては、経年車重課として概ね20%の増税対象となってしまいます。具体的には自家用乗用車では7200円が12900円になってしまうのです。さらに、軽商用車は4000円が6000円に重課されます。

結果として、学生が使っているホンダ・カブの軽自動車税は倍増したわけですし、農家で長年使っている軽トラの軽自動車税を1.5倍にしたのが、軽自動車税の増税でした。

たしかに豪華装備の軽乗用車を見ていると増税やむなしという感情になるのは仕方ないという理解もできますが、そうした庶民感情が原付きや軽トラといった庶民の足に対する増税をよしとしたのでは本末転倒だったのではないでしょうか。

(山本晋也)

【関連リンク】

総務省:平成28年度から軽自動車税の税率が変わります
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/102384.html

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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