小林和久 125cc並みのコンパクトな車体に155ccエンジンを搭載し、一般道から高速道路まで守備範囲が広い軽二輪スクーター「マジェスティS」がモデルチェンジしました。
150ccクラスのスクーターというのは非常に使い勝手が良いサイズです。
車体がコンパクトなので駐車場からの出し入れなど、普段の取り回しがやりやすいし、都会の混雑した道でも楽に走れます。適度なパワーがあるので交通の流れをリードできるし、高速道路にも乗れるのでちょっとした旅気分も味わえます。お土産をシート下のトランクに入れられるというのもメリット。
欲張りなスクーターとも言えますね。
近年、人気が高まり車種が増えはじめた“欲張りスクーター”クラスに2013年から発売され続けているヤマハ「マジェスティS」の2018年モデルが登場しました。
最大の変更点はLEDヘッドライトやポジションランプなどを採用してフェイスデザインを変えたことです。前のモデルより小顔になって精悍さが増しました。
デザイン的に大きく変わったのはフロント周りだけですが、インパクトが大きいのでまったく別のスクーターになったようにも感じられます。
そのほかにもフロントポケット部に12V DC電源ジャックを装備して、テールランプのインナーをブラック処理するという改良が施されました。前者はスマホなどのデジタル機器が手放せない現代において必須装備になりつつあります。後者はリヤ周りを引き締めてスポーティに見せる効果があります。
ヘルメットをひとつ入れても余裕がある約32ℓのシート下トランクスペースや、使い勝手の良いフロント中央のコンビニフック、メインキーの操作で開けられるガソリン給油口などの装備は前モデルと同じです。
エンジンやフレームなどの主要部分は継承されていてスペックも同じです。
またがるとハンドル幅が狭めで少し高めにセットされているのに気付きます。ステップボードはフラットで広く、足の置き場が自由なのが嬉しいですね。
アクセルを開けるとエンジンはすぐに反応し、155cc単気筒エンジンは車体をグイグイ押し出すような加速を見せます。中速からの盛り上がりも楽しく、街中をスイスイと駆け抜けることができます。
2016年モデルから欧州仕様のフロントサスペンションを採用しているので、設定はややハードな印象。しかし凹凸で大きく跳ねるようなことはなく、シッカリした接地感が得られる理由のひとつにもなっています。ただ高速で大きなギャップに乗ったときは、衝撃を車体全体で受けたように感じるシーンもありました。といっても限られた条件のときだけで危険に感じるほどではありません。
フロントブレーキに採用されているウェーブディスクローターは厳つく見えますが、2ピストンキャリパーとの相性が良いので不安なく握れます。
ハンドリングはクイックでスポーツ感があり、バンク中の車体姿勢も安定しています。
新型マジェスティSが先代から受け継いだ高い走行性能は、今乗っても弱点が見つからないほど。普段は便利な足に使い、ときどきスポーティな走りやツーリングを楽しむといった幅広い使い方に対応してくれる「ジャストサイズ・スクーター」だと言えます。
（文：横田 和彦／写真：山田 俊輔）
