バーチャル・セーフティカーでどんでん返し!セバスチャン・ベッテルが運を味方につけ優勝【2018年F1第1戦オーストラリアGP】

ハースのマシン処理のため、バーチャル・セーフティカーが導入。バーチャル・セーフティカー発動中は、制限されたラップタイムの範囲で周回しなければいけません。もちろん、オーバーテイクもNG。そんな中、上位勢で唯一タイヤ交換をしていなかったベッテルがピットイン。ウルトラソフトからソフトへ履き替えます。

そしてピットから出ると、驚きの光景が飛び込んで来ました。なんと首位のハミルトンより前、トップでコースに復帰したのです! 本来であれば、ベッテルがタイヤ交換をしている間にハミルトンが前に行き、ベッテルは3番手(もしくは2番手)でコースに戻るはずでした。しかしベッテルがピットインしたのはバーチャル・セーフティカー中。ハミルトンは制限されたラップタイムの範囲でしか走行できなかったので、ベッテルに首位を譲ることになってしまったのです。これにはびっくりしすぎて、開いた口がしばし塞がりませんでした。

バーチャル・セーフティカーからセーフティカーに変わり、32周目にレース再開。リスタート時に大きな混乱はなく、この時点での上位勢の順位は首位ベッテル、2番手ハミルトン、3番手ライコネン、4番手リカルド、5番手フェルナンド・アロンソ(マクラーレン)です。

42周目、ハミルトンがベッテルの1秒以内に入り、DRSを使用しながら近付いてきました。しかし、あまり攻めすぎるとタイヤが摩耗してしまいます。タイヤを最後までベストな状態で走らせるために、いかにタイヤに優しく攻められるか。ベッテルとハミルトンの心理戦に、見ているこちらがドキドキしてきました!

47周目、ハミルトンが「プッシュしていい? 僕は準備万端だよ!」とチームに訴えます。しかし気合いが入りすぎたのか、ターン9でオーバーラン。ベッテルと3秒弱離れてしまいました。

レースは順調に進み、ベッテルがトップでフィニッシュ! 48勝、100回目のポディウムとなりました。パルクフェルメでマシンを止め、ジャンプしながらチームスタッフの元へ駆け寄るベッテル。喜びを隠しきれません。一方、2位のハミルトンはマシンを止めたにもかかわらず、なかなかマシンから降りてきません。「完璧な走りをしたのに、なぜ勝てなかったんだ……?」と自問自答しているように見えました。

表彰式終了後のインタビューでポディウムに登場したのは、オーストラリア出身の元F1ドライバー、マーク・ウェバー。かつてはライバル同士だったベッテルとウェバーが笑顔で話しているのを見ると、感動するのは私だけ!? 見ているこちらも、自然と笑みがこぼれます。

見事な大逆転でシーズン最初の勝者となったベッテルは、

「今日はラッキーでした。たくさんのお客さんが来てくれて、本当に楽しいレースでした。ソフトタイヤに交換しなければいけないタイミングで、マシンが2台止まっていて……。セーフティカーが出る事を祈ってしまいました(笑)。バーチャル・セーフティカーが出た時は、アドレナリンがでましたね。まだクルマが目標とするところまで到達していないけれど、次の週末にむけて良いスタートがきれたと思います」

と興奮気味に話していました。

予選から素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたハミルトンは、

「今日は良いラップだったけれど、セバスチャンのほうが素晴らしい仕事をしましたね。『おめでとう』と言いたいです。ペースはあったので近付いてプレッシャーをかけたんですけれども、抜くのが難しかったです。最後は次のレースに向けてエンジンをセーブしました」

とコメント。微笑んではいますが、悔しそうです。

セーフティカー終了後、リカルドを抑えきり3位表彰台を獲得したライコネンは

「ラップ、スピードはあったけれど運はベッテルにあったということですね。後半はポジションを守ることに専念しました。3位を受けれます」

と、今年もクールにコメントしました。

メルボルンで、運を完全に味方につけたベッテル。「レースは最後まで何が起こるか分からない」とよく言いますが、こんなことってあるんですね。シーズン開幕戦に相応しい、ドラマチックなレースだったのではないでしょうか。やっぱりF1って、最高におもしろい!

オーストラリアGPリザルトは以下の通りです(ポイント圏内のみ)。

順位/No./ドライバー/チーム
1/#5/セバスチャン・ベッテル/フェラーリ
2/#44/ルイス・ハミルトン/メルセデス
3/#7/キミ・ライコネン/フェラーリ
4/#3/ダニエル・リカルド/レッドブル
5/#14/フェルナンド・アロンソ/マクラーレン
6/#33/マックス・フェルスタッペン/レッドブル
7/#27/ニコ・ヒュルケンベルグ/ルノー
8/#77/バルテリ・ボッタス/メルセデス
9/#2/ストフェル・バンドーン/マクラーレン
10/#55/カルロス・サインツJr/ルノー

(yuri)

この記事の著者

yuri 近影

yuri

2006年のF1日本GPを観に行ってから、どっぷりF1&ジェンソン・バトンにはまってしまったF1女子。F1が大好きですが、車の運転は下手(小林編集長お墨付き)、メカニズムも苦手、だけどドライバーの知識と愛だけは自信あり! もっと気軽にF1を楽しんでもらいたい、好きになってもらいたいという気持ちで執筆活動をしています。
趣味はバトンの追っかけと、F1海外観戦。現在は新米ママとして子育てに奮闘しながら、のんびり記事を更新中。あたたかーい目で見守っていただけると嬉しいです。
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