と、タイトルには書きましたが、この記事の中に「土屋圭市」の名前は…出てきません。
77年にフレッシュマンレース・デビューをし、ADVANカラーでドリフトする姿が徐々にウワサに…。この時代にはまだ、土屋選手のネームバリューはそれほど無かったのです。そんな土屋選手をトラストが大抜擢し、JSS(ジャパン・スーパースポーツ・セダン・レース)に乗せた!って感じだったのでしょうか。
エントリー名:グレーサー・ジャパンオート・ソアラ
ドライバー:土屋圭市
「出来立てマシン」とあるように、取材時はこのJSSソアラはデビュー前。そんなときにOPT最高速男。Dai稲田に試乗させようなんて…トラストさん、無謀過ぎません?(笑)
最高速の世界では驚異の記録を作るトラスト・ソアラですが、「ストリートからサーキットへ!」を地で行くトラストの、JSSレース仕様ソアラをじっくりと見てみましょう! まずはDaiちゃんインプレからドーゾ!
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ハイソ感覚初試乗
高級車の野生 トラスト・ソアラ、富士に現る!
注目度は富士スピードウェイでもNo.1! さっそくコクピットに座る。コクピットといったって鉄板だけ。ロールケージのサイドバーをまたいで乗り込む。
実はこのトラスト・ソアラ、富士のJSS仕様に作られたが、Mr.大川によると「遊び、遊び、レースは楽しまなくっちゃ。Daiちゃん、壊してもいいよ」…高級車ソアラが聞くと泣きそうな発言だ。
と、こんな調子でコースイン。ストレートマフラーからの轟音は凄い。5MGエンジンはソレックス50φキャブだが、ベンチ208psとJSS規定が厳しいので、ストリートのチューンドカーほど速くない。しかし、ダイレクトなフィーリングはまさにレーシング仕様だけのことはある。
ステアリングはやはり重い。パワステを取って、でっかいレーシングスリックを履いているから当然だが、走り出すと気にならない。
指示回転は6500rpm。本来なら8000rpm近く回るのだが、調子を見るためだ。ややエンジンがバラツキを発生する。いかにもキャブチューンの調整の難しさが出ているが、まだ作ったばかりなのでしかたない。
コーナーめがけてフルブレーキングしてステアリングを切る。ソアラは重厚そうに、やや間を置いてノーズを向ける。そして、コーナー頂点からアクセルを開けると、アンダー気味に加速する。ステアリングを押さえるのに力が入る。ボディ重量は1100kgと、それほど軽量化されていないので当然かも。
出来立てホヤホヤのマシンなので無理はできない。もっと飛ばせばどんな感じになるか興味津々だ。
この迫力ある超オーバーフェンダーに包まれたソアラは、しかし、まったく異様な怪物だ。グリルとリヤランプ、リヤクォーターモールを外せば、昔のダルマセリカみたいに見える。なんとなく古き良き60年代のツーリングカーレースを思い出すのだ。
が、こんなレース遊び、好きだな。
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「壊してもいいよ!」と前置きされていましたが、無事にピットへ戻ったようでホッとします(汗)。さて、後編ではJSSソアラのメカニズムチェックといきましょう!
[OPTION 1984年10月臨時増刊号より]
(Play Back The OPTION by 永光やすの)