【シトロエンC3試乗】ゆる〜いエクステリアながら中身は質実剛健

輸入車には国産車にはないプレミアム感やスポーツ性など、異国情緒を味わえるモデルが数多く存在していますが、そのなかでも異色の存在となっているのがフランスのシトロエンです。

シトロエンはWRC(世界ラリー選手権)への出場などモータースポーツへの参加も積極的なメーカーですが、ロードカーは独特な雰囲気を持っています。

モータースポーツに積極的なメーカーは、モータスポーツ色を前面に押し出したようなクルマが多く存在していることが多いのですが、シトロエンはそうしたことはあまりなく、ゆったりとした雰囲気のクルマを市場に送り出しています。

  

今回試乗したC3はその代表ともいえるようなモデルです。丸みを帯びた5ドアハッチバックのスタイリングを採用。前後ドアにはエアバンプと呼ばれる樹脂製パーツが取り付けられています。

エアバンプはその名のとおり中空のパーツで、ちょっとした衝撃があっても衝撃をやわらげるバンパーとしての役割も果たします。本格的に衝突や衝撃を対象としたパーツではありませんが、そうした演出がされている。つまり、遊び心がたっぷりと詰め込まれているというわけです。

 

エンジンは1.2リットル3気筒で110馬力/205Nmというスペック。ミッションは6ATです。スペック的には並の性能ですが、普段使いならば何の不満もないレベルです。もちろん高速道路を巡航しても不満はありません。

足まわりはゆったりとした動きをするものですが、しっかりと路面を追従します。かつてシトロエンにはハイドロニューマチックと呼ばれる独特なサスペンションがありましたが、それを思い出させるような余裕感にあふれた乗り心地を実現しています。

快適な乗り心地としっかりとしたロードホールディングを両立しているのは驚異的なこととも言えます。

実用性の高いエンジンやしっかりとしたサスペンションなど、エクステリアとは似つかない走行性を兼ね備えるところがなんともシトロエンなのです。

(文:諸星陽一/写真:小林和久)

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諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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