自動車の環境負荷を生産時から考慮する「LCA(ライフサイクルアセスメント)」という手法があります。走行時には排ガスを出さないエコカーが「じつがエコではない」という指摘をされるのは、こうしたLCAに基づくことが少なくありません。その大きな要素が生産時の環境負荷です。
長らく自動車生産量のトップを走り、自動車の技術に関しても先進的なゼネラルモーターズ(GM)は、生産現場における環境性についても、もちろんトップクラス。なんと、埋立地不要の廃棄物処理プログラムをカナダ、メキシコ、南米にある全ての製造拠点に拡大すると発表したのです。
もちろん、すべてのゴミを出さないという話ではありません。これまで埋立処理するほかなかった「使い道がないゴミ」を何らかの方法で再利用することにより「すべての製造工場で廃棄物処理の埋立地を持たない」ことが可能になったというのがトピックです。
その他の廃棄物についても、すでにリサイクル、エネルギーに変換するなどして利用しています。そこに上乗せするように埋立処理するしかなかったゴミを再利用できるようになったということですから、自動車業界において生産時の環境負荷軽減についてGMがトップランナーというのも納得です。
しかも、今回新たに27の施設が認定されることで、GMの埋立廃棄物ゼロの製造施設および非製造施設は、全世界で142か所になります。これは他の自動車メーカーを圧倒するスケールということです。
こうした世界規模での廃棄物を減らす取り組みは、環境負荷を軽減するだけでなく、コストの削減にもつながっているといいます。コストをかけてゴミを減らすのでは持続性が維持しづらくなります。ゴミを減らすことで利益を生み出すという体制づくりが大切なのです。
(山本晋也)