【ルノー・トゥインゴGT試乗】予想を裏切らない小気味よい走り。

限定車からカタログモデルとなったルノー・トゥインゴのスポーツモデル「GT」は、トゥインゴのキビキビした走りをさらにアップした軽快なクルマに仕上げられていました。

トゥインゴはリヤにエンジンを積み、リヤタイヤを駆動するRR方式です。こうするとリヤが重くなりタイヤがしっかりと押さえつけられ、そして駆動するのでエンジンのトルクを効率よく路面に伝えられます。ただしリヤが重くなるので、コーナリング中に横滑りしたり、オーバーステア(ハンドルを切った量よりもクルマが内側に向かうこと)を起こしやすくなります。

 

それを防止するために、多くのRR車と同じようにトゥインゴでもリヤタイヤが太い設定で、フロントタイヤが185/45R17、リヤが205/40R17となっています。さらに横滑り防止装置のESCも備えます。しかし、ESCの作動を強めてしまうとRRらしいキビキビした走りをスポイルしてしまうため、トゥインゴGTは標準のトゥインゴよりもESCの作動を遅らせることでキビキビ感を増しています。

エンジンは0.9リットルとは思えないトルク感があります。3気筒ですが振動は少なめ、上手に抑えられている感じを受けます。多くの3気筒車はFF車なので、ステアリングからも振動が伝わりますが、トゥインゴはステアリングが独立しているので影響が少ないという面もあります。

ハンドリングは軽快です。とにかくボディが小さいので、ステアリングを切ってアクセルを踏み込んでやればスパッ、スパッとクルマが向きを変えます。ステアリングはロック・トウ・ロックが3.5回転とかなり広くなっていますが、中立付近のギヤレシオがクイックになため、反応は非常に敏感です。ECSの介入を遅らせていることもあり、走りは気持ちのいいものです。そして、フル転舵した際の切れ角は大きく、かなりの小回りが可能です。

限定車時代のGTは5MTしか設定されていませんでしたが、今回はデュアルクラッチの2ペダル6AT(6EDC)が追加されました。

両方に乗ったのですが、上手に走れたのは6EDCモデルでした。というのも、試乗車はナビを装着しているためにエンジン回転数情報をつかめずシフトアップのタイミングなどが計れないのです。

もし、MTを選ぶのであれば、純正のナビは付けずにラジオ&スマホアプリのタコメーターを機能させる、もしくは後付けのタコメーターを装着するかのどちらかをオススメします。6EDCはオートモードで乗っても、マニュアル操作してもシフトチェンジはクイックで気持ちいいのでこちらでも十分に楽しめます。ただ、6EDCは物理的にクラッチが2つあり、構造も複雑なので、クラッチ板摩耗時などのメンテナンスフィーは6EDCのほうが余分にかかることになるはずです。

(文:諸星陽一/写真:小林和久)

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この記事の著者

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諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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