アウディ・クワトロシリーズを氷上でドライブ。アクセルで面白いほど車体が向きを変えてくれる!

一般道やサーキットのドライ路面では0.8~0.9μの摩擦係数ですが、雪上では0.3μ前後にまで落ち、氷上では0.1~0.2μまで下がると言われています。

走行内容は直進からのブレーキや定常円旋回、そしてスラロームなど様々なものがありました。

そのいずれのメニューにおいても、クワトロシリーズでは氷上の圧雪部分では驚くほどのトラクション能力を味わうことができました。一方で、陽光で表面が溶けてきているような氷上では、いかにクワトロ機構が優れているとはいえ、発信・停止やステアリング切り始め初期の不安定さというのは避けられません。

ただしクワトロのありがたい点は、タイヤ・グリップは大きく失いながらも緻密な制御が介入することで、車両をコントロールできるところです。ドライ路面での動きとは異なるものの、スラロームでは意外なほど敏感にノーズは向きを変えてくれますし、車両の向きをアクセルで自在にコントロールできるということも実体験できました。

なお今回のテストでアウディが用意したのはS4・RS3・RS7などの「速い系」モデルがほとんどで、これらスポーツモデルは積極的安全性とも言える機構追加やセッティングがなされています。

それがこの「氷上でもコントローラブル」な特性を後押ししているのでしょう。

たとえば電子制御マルチプレートクラッチ付きクワトロ機構(前出の3つ目)を持つRS3。これはESCをオフにするかスポーツモードを選択すると、ドリフト状態を維持できるようなトルク配分と4輪の制御がなされます。

一般的な「横置きFFベースのAWD」で想像される走り方とはぜんぜん違うのです。

センターデフロック機構付きクワトロ(前出の1つ目)のS4には、後輪左右のトルク配分を電子制御連続可変させるスポーツディファレンシャルもオプション設定しています。

装着車ではアクセルによる姿勢変更の自由度はさらに大きいものとなっているのです。

また当日唯一の標準系モデルであるQ5には前出2つ目のウルトラ・クワトロシステムが搭載されています。非スポーツ系でありながら、他のS/RS系と比肩するか、場面によっては上回るほどアクセルでの車体コントロールが容易でした。

今回のアウディ・クワトロシリーズ試乗では、雪上などで安心して走れることはもちろんのこと、低μ路でも積極的にドライビングを楽しめるというプラスアルファの側面を持っていることが実感できました。

 

(写真・動画・文/ウナ丼)

この記事の著者

ウナ丼 近影

ウナ丼

動画取材&編集、ライターをしています。車歴はシティ・ターボIIに始まり初代パンダ、ビートやキャトルに2CVなど。全部すげえ中古で大変な目に遭いました。現在はBMWの1シリーズ(F20)。
知人からは無難と言われますが当人は「乗って楽しいのに壊れないなんて!」と感嘆の日々。『STRUT/エンスーCARガイド』という名前の書籍出版社代表もしています。最近の刊行はサンバーやジムニー、S660関連など。
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