「見た目はカジュアル、中身はガチ」。スバルXVで八甲田に向かってわかったこと

現在のSUBARU車において多数派となっている「アクティブトルクスプリットAWD」が、XVに採用されているAWDシステムです。これは前後駆動トルク配分60:40を基本として可変させるというもので、軸重に合わせた最適化するという考え方です。ここでポイントとなるのは駆動トルクは可変であるという点。基本がフロント寄りと聞くと、安定志向と思いがちですが、そうではないのです。

圧雪路で、積極的にアクセルを踏んでいくと後輪を滑らせて向きを変える(オーバーステア領域)を活用できることが確認できました。しかも、これは電子制御を切っていない状態の話なので、アグレッシブな走りを意図的に受け止めるセッティングになっているというわけです。

こうしたドライバーファーストの味付けとなっているのはSUBARUの特徴といえるのではないでしょうか。

そもそも、SGPはドライの後輪メカニカルグリップが高い印象がありますから、アクセル操作によるオーバーステア的な味付けが意図的なのは明らかです。パーキングブレーキがEPB(電動タイプ)となってリヤのスライドを意図的に作り上げることは難しくなった現行XVですが、こうして意図的にヨーを強めるコントロール性を持っているのです。

こうしたコントロール性への強い意識が、雪中試乗で確認できたのは大きな収穫でした。そして、すぐれたコントロール性はクルマに対する信頼感を生んでくれます。完全に電子制御で安定させるよりも、安心して走ることができるのです。

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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