その年の一番の新車決めるクリッカー・オブ・ザ・イヤー。ライターが2017年の一番にふさわしいと思うのは「日産・リーフ」です。
不適切な完成検査の発覚と発売のタイミングがばっちり合ってしまったことで出鼻を挫かれた感もあるリーフですが、そうした残念な面も含めて2017年という年の自動車業界を代表するクルマだと思うからです。
自動車業界の次のトレンドとして「EVシフト」という言葉を見かけることが多くなったのが2017年でした。
欧州発のこの言葉は、EVを電動車両全般を指す言葉として使っていて、100%電気自動車にシフトするという意味ではないのですが、大手メディアではエンジンがなくなり「電気自動車に移行する」という意味合いで使われていることも少なくありません。その是非はともかく、そうした記事では「日本の自動車メーカーはEVの開発で遅れている」という批判とセットになっている傾向にあります。
しかし、考えてみれば累計生産台数がもっとも多い100%電気自動車は、2010年から日産の追浜工場で作られているリーフであり、そこには7年間の様々な蓄積もあるわけです。しかも、2017年には初のフルモデルチェンジを果たしました。
電気自動車を量産、市場からのフィードバックを行ない、一代限りで終わらずにフルモデルチェンジを実施する……といったサイクルを経験しているのは数少ないメーカーは日本に本社を置く日産自動車なのです。他社が100%電気自動車に対して市販に積極的でないように見えるのは事実かもしれませんが、少なくとも「日本の自動車メーカーは電気自動車で遅れている」とは言えません。
むしろ、世界的に見ても日産は、EVシフトをリードする存在といえるくらいです。
一方で、冒頭にも記したように、新型リーフはデビューのタイミングから、日産が長年に渡って行なってきた不適切な完成検査の象徴的な存在となってしまった感も否めません。自動車業界だけに留まらない品質管理での不適切案件が表に現れたのも2017年の出来事として記憶に残るでしょうが、そうした案件につながった長年の慣習を打ち破ることも必要だと感じさせられたのも事実でしょう。
「EVシフト」だけでなく、あらためてコンプライアンス意識のグローバル化も考えさせられました。そうした時代のシンボルとして、日産・リーフが2017年のクリッカーオブザイヤーにふさわしいと思うのです。
クルマとしてもプラットフォームをキャリーオーバー(ドアまで流用するレベルで!)しながら、バッテリー総電力量をほぼ倍増しているという点に技術の進化を感じます。ライバルとなるはずのアメリカの某車は本格的に量産開始に至っていないという状況で、どこまでリードを広げることができるのかにも注目です。
(山本晋也)
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