2017年も、たくさんのクルマに試乗させていただきました。今年一年間で試乗した車種を数えたところ、ざっくり見てのべ約310台。そのうち、50台が自分で借りに行き、返却にも行ったクルマ。
もちろん一日で複数台試乗することもあるので、数え漏れもあると思いますし、たまにクルマに乗らない日もあったりしますが、ほぼ一年、毎日違うクルマに乗っていると言っても過言ではないかも。
と言いつつ、2017年の最後の試乗会は、クルマではなくボート。
そして年またぎの試乗車は、「BMW X1」。
そんな私を今年最も悩ませた一台、「私を一番悩ませたカー・オブ・ザ・イヤー」は、「スズキ スイフト」です。
「2017-2018 日本カー・オブ・ザ・イヤー」は、「ボルボXC60」これは私が今年の「日本カー・オブ・ザ・イヤー」で最高点の10点を投票したクルマ。
今年は、選考委員60名の誰しもがかなり悩んだのではないでしょうか?
というのも、今年の本命候補だった「日産リーフ」が完成車検査での不適切な取扱い問題により辞退。続いてスバルも同様に辞退。
そのため、票が大きく分かれることに。
その証拠に、10点満点が一番多かった「トヨタ・カムリ」ではなく、まんべんなく多くの人が点数を投じた合計点により「ボルボXC60」が最高得点を獲得。
視点を変えれば、選ぶ車がクルマが変わります。
私の「日本カー・オブ・ザ・イヤー」での選考基準は「I(私)」ではなく「We(私たち)」のクルマ。そして日本が「日本カー・オブ・ザ・イヤー」として世界に自信を持ってその結果を送り出せること。そう考えると、何かはいいけど、何かが足りない…。もちろん「XC60」は個人的にはとても好きなクルマではありますが、価格が少し高いかなと。「ホンダN-BOX」も日本でこれだけ売れ続けているし、使い勝手もいいけど、軽自動車なのでドメスティックな選択になってしまうのではないかと。
「スズキ・スイフト」は、実は私は最終選考に絞る10台の中に入れていませんでした。10台に絞られた後で、私はそれまでの考えをリセットし、白紙の状態から「We」なクルマは何かを考えました。悩みに悩んで私が出した結論が、おそらくもっとも私らしくないクルマ「スイフト」です。グレードのバリエーションと頑張った価格設定。そして「スイフト・スポーツ」の運転の楽しさ…。なにしろクルマを運転しているときに、みんな笑顔。さらにドライバーだけではなく同乗しても悪くない。
この答えを出したのは、「日本カー・オブ・ザ・イヤー」の投票締め切り3分前。
実はもっと早くに投票は済んでいましたが、本当にそれでいいのかギリギリまで悩んだのでした。「ギリギリまで悩む」というところに今年のカー・オブ・ザ・イヤーがいかに難航したかがお分かりいただけるのではないかと思います。
といいつつ、クルマ作りの現場の皆さんがいかに熱い思いでクルマを作っているかを知っているので、私のようなものが点数をつけるなんて本当は恐れ多いことだと思っています。どのクルマにも良い点をつけたいところです。しかし点数をつけなければならないという使命があるので、これほどまでに悩んでいます。だから私はクルマ作りの現場の皆さんの‘思い’に応えるためにも同点などで逃げずに、真剣に点差をつけさせていただきました。
でもこの悩みは、ある意味嬉しい悩みでもあります。
そして2018年も、いい意味で私を悩ませるクルマがたくさん登場することを期待しています。
(吉田 由美)
【関連リンク】
日本カー・オブ・ザ・イヤー2017投票結果 http://www.jcoty.org/result/points/