ドイツの自動車用システムサプライヤー ZFは、来年1月にラスベガスで開催される「CES(コンシューマー・エレクトリックショー)2018」に自動運転機能の開発車両を出展する事を発表しました。
ZFが「ドリームカー」と呼ぶこのプロトタイプは、アメリカの半導体メーカーNVIDIAとの共同開発により生まれた車載AI「ZF ProAI」を搭載。特定の環境下ではドライバーがクルマの操作から解放される、自動運転の「レベル3」から「レベル4」を可能にします。
ショーの期間中、ドイツでは各種センサーを搭載した車両がZF本社と研究開発センター間を走行。そのクルマのセンサーが収集したデータがドイツからCES会場に展示された「ドリームカー」に送られます。展示車両は、ドイツの走路を正確にたどっているかのようにリアルタイムでデータを解析し、ステアリングやブレーキ、加速などの操作を1万キロ近く離れたラスベガスで仮想体験します。
ProAIは、このような仮想ドライブを通じてAIアルゴリズムをトレーニングする事ができるため、クルマは実際に路上を走行しなくても、交通状況の解析方法を「学習」できるそうです。さらに、「学習体験」はクルマからクルマへの移植が可能で、クルマの加速的な進化が期待されます。
ZFは、交通事故の削減を主な目的として自動運転に取り組んでいるそうです。
自動運転はその利便性に注目されがちですが、すでに実用化されている各種の運転支援や予防安全機能の進化・発展の最終形が自動運転と考えるべきではないでしょうか?昨今では、交通事故のニュースが毎日のように報道されています。「学習」を積んだクルマが市場に多く投入され、痛ましい事故が一件でも減っていくよう、自動車業界には期待したいですね。
(Toru ISHIKAWA)