走り出しからトルクフルで、久しぶりのMTでも扱いにくさはありません。パワートレーンの仕上がりは、低速域のトルク感、高速域の伸びやパンチ力ともに「これで十分!!」といえるレベルにあります。
ターボとは思えないスムーズな吹け上がりも魅力。MTで「胸熱」なドライブを楽しめるでしょう。
乗り心地の良さも国産のCセグメントモデルではトップクラスといえるもので、荒れた路面では少しザラザラとした感触を伝えるシーンもあるものの、ボディの動きはよく抑制されていて、速いコーナリングスピードを容易に実現しながらと考えると感心させられます。
ホンダに限りませんが、新型として出始めのいわゆる初期型系は、関節の硬さなど、ややハードなセッティングが目立ち、イヤーチェンジやマイナーチェンジを経て乗り味が丸くなる傾向があるように思えます。
同一条件下で比べたワケではないので、断言はできないものの、国産ライバルであるインプレッサやアクセラと比べても乗り心地の面、とくに路面のジョイントなど大きめの凹凸のいなしは、シビックが一枚上手のように感じました。また、動力性能でもインプレッサの2.0L(154ps/196Nm)よりも数値どおり余裕がある印象です。
個人的に少し気になったのは、メーターのデザインと表示に少しギミック感があり、ややデコラティブに過ぎるかなと思ったのがまずきになりました。
また、MTのストローク感は短いものの、ドライバーから遠い位置にある1速に入れる際に、適正と思われるドライビングポジションでもやや腕を伸ばす感覚が強い点でしょうか(筆者の腕が短いのかもしれませんが)。
そのほか、インパネ表皮の質感なども惜しいなぁ、という印象。ピアノ調加飾などで頑張っているインプレッサや、随所に効果的にクローム加飾を配したアクセラよりも少し物足りなく感じる人もいるかもしれません。
とはいえ、気になるのはいずれも些末な点ばかり。ホンダらしい爽快感のある走りは存分に味わえますから久しぶりにMTで楽しむのもアリでしょう。
(文/塚田勝弘 写真/小林和久)