1つ目は、駐車位置が目標とずれてしまう点です。それは縦列駐車のシーンで起きました。プロパイロットパーキングの手順に従って、駐車を行ったところ、後輪が駐車枠の白線を踏んでしまいました。クルマを降りて見ると、前輪は枠内にいるので、明らかに分かる程に斜め駐車でした。
「ナビモニタでの位置決めが悪かったのか?」位置調整は、クルマの前後・左右と角度も調整ができます。今度は、角度も微調節して合わせたのですが、2度目も同じ様に後輪が白線を踏む始末。「再現性あるということはこれが実力か、、。」と、ちょっと残念な結果に。
今度は、駐車の様子をクルマの外から確認すると、駐車する際のクルマの鼻先の振り方と、後退してクルマを駐車エリアに押し込む動作は良くできていますが、最後にステアリングをまっすぐに戻して停車する調節ができていない様子です。駐車エリアの中へ、まっすぐに駐車したい方には、少しストレスを感じるかもしれません。
2つ目は、駐車完了までに時間かかる点です。先ほどの縦列駐車の場合、スイッチを押し始めてから駐車完了状態まで、約80秒かかります。
駐車位置を決めるために、既に40秒を要していたので、約120秒はパーキングの為に同じ所を車が動いていた事になります。広くて、周囲を通過する人やクルマが少ない駐車場であれば、気にならない時間かもしれませんが、自車の後ろにクルマが列をなしている様な駐車場であったり、切り返すのもやっとな極狭の駐車場では、プロパイロットパーキングを使うのをためらってしまいます。
ちなみに、周囲を人や自動車が通ると、アラームが鳴り、プロパイロット パーキングは停止します。インテリジェントアラウンドモニターの移動物検知機能によって、クルマの周りを歩いている人などの移動物を検知して、ディスプレイへの表示とブザーでドライバーにお知らせしてくれます。
一つ付け足すと、プロパイロットパーキング時、停止した状態でハンドルをフル転舵まで据え切りする事があります。これは、タイヤのフラットスポットの原因になりますので、徐行で移動しながら転舵するように改善される事を要望します。
駐車精度や経過時間は、車両開発担当者も把握するでしょうし、当然改善していくと思います。しかし、このシステムを使う側も、制御の特徴を理解していないと、却ってストレスの元となり、駐車を慌ててしまい思わぬアクシデントの原因にもなりえます。ユーザーへのシステムの理解は、一層必要だと感じました。
(文:吉川 賢一/写真:吉川 賢一・小林 和久)