ADAS(高度運転支援)・自動運転には、自車の位置を正確に認識する位置情報技術が欠かせません。この位置情報技術について、最近相次いで3つのグループの提携が発表され、各グループが目指す新技術に注目が集まっています。
まず第1に、独・自動車部品大手のボッシュと日本のインクリメントPが車載センサーを使った 自動運転用高精度マップについての協業に合意したことを10月26日付けで発表しました。マッププロバイダーのインクリメントPはパイオニアの100%子会社です。
両社によると、この協業によって車載レーダーを使用したボッシュの「Radar Road Signature」技術でより正確な自車位置の特定が可能になり、車両の車線内での自車位置を数cm単位の精度で正確に把握できるようになるということです。
今後、両社は日本での協業を手始めに「Bosch Road Signature」技術をグローバルに展開することを目指しています。
次いで10月27日には、三菱電機とオランダのHERE Technologies(HERE社)が高精度位置情報サービスについての提携を発表しました。
三菱電機とHERE社の提携では、HERE社の高精度地図および運用開始したクラウド位置情報サービス「Open Location Platform」と、三菱電機が開発した高精度で自車位置を把握できる「高精度 ロケータ」という2つの技術を利用して、ユーザーが利用しやすい高精度位置情報サービスの展開を目指しています。
三菱電機とHERE社は、今回の高精度位置情報サービスを欧米で導入し、日本と中国では現在のところサービス提供を行わないということです。
そして同じく10月27日に、オランダのTomTom International B.V.(TomTom社)と、日本の住宅地図で有名なゼンリンおよびゼンリンデータコムが、日本での高度でリアルタイムなトラフィックサービスを共同開発することで合意したと発表しました。
3社の協業は、カーナビゲーション機能の充実およびコネクテッドカー・自動運転へトラフィックサービスを活用することを通じて、より一層高度なモビリティサービスを実現することを目指しています。
今回、明らかになった3グループの提携で目立つのが、位置情報技術についてHERE社とTomTom社という2社のオランダ勢が参加している点で、日本の各社はオランダ勢の位置情報技術を利用して、自社の技術を補強することを狙っているようです。
(山内 博・画像:ボッシュ、ゼンリン)